紅茶史における制度(1)制度が産んだ差別
第1章 植民地時代の品質管理制度と紅茶貿易 19世紀から20世紀初頭にかけて、紅茶は大英帝国の世界戦略において重要な輸出商品となり、それとともに「品質管理制度」も植民地経済の中で制度化されていきました。 ☕ 茶葉の価値を […]
文学や美術、写真、映像など――紅茶はさまざまな人間の表現とともに登場し、物語や世界観を彩ってきました。
また、喫茶の習慣や贈答、日常の道具使いなど、生活文化としての側面も豊かです。
このカテゴリでは、表現と文化の両面から、紅茶が育んできた文化的広がりをたどります。
第1章 植民地時代の品質管理制度と紅茶貿易 19世紀から20世紀初頭にかけて、紅茶は大英帝国の世界戦略において重要な輸出商品となり、それとともに「品質管理制度」も植民地経済の中で制度化されていきました。 ☕ 茶葉の価値を […]
第2章 戦場における紅茶~クリミア戦争から世界大戦へ~ 🕊️クリミア戦争 紅茶がもたらす慰安の始まり 19世紀半ばのクリミア戦争(1853–1856年)では、イギリス軍兵士に対する紅茶の提供が戦場の慰安として注目され始め […]
🔥第二次世界大戦 紅茶は国家の命綱 1939年に第二次世界大戦が勃発すると、紅茶は英国民と軍隊にとってさらに戦略的に重要な物資となりました。政府は開戦当初から紅茶の備蓄と供給確保に奔走します。大戦開始時、英国は海外から大 […]
第1章 紅茶は“誰のもの”だったのか? 紅茶は「誰でも飲める庶民の飲み物」とされることがあります。実際、イギリスにおける紅茶の普及は18〜19世紀以降、すべての社会階層へと拡がっていきました。港湾労働者も鉱山労働者も、ま […]
序章 見えない階級の国、日本 「日本には階級など存在しない」と語るのは簡単です。確かに、王侯貴族の制度はありませんし、肩書で階層が決まることも稀です。しかし、その代わりに日本には──“空気で察するヒエラルキー”が存在しま […]
はじめに 同じ“階級社会”でも、違う顔 階級という言葉には、どこか過去の匂いがあります。封建制度、貴族、特権階級──けれど現代においても、社会の空気の中には、確かに“階級の名残”が息づいています。 イギリスと日本は、いず […]
📘第1章 はじめに──「労働者の飲み物」としての紅茶 「紅茶」と聞いて、まず思い浮かぶのは優雅なアフタヌーンティーでしょうか。それとも、カップから立ちのぼる蒸気とともに一息つく、あの午後のブレイクでしょうか。けれどそのど […]
📘第4章 紅茶と職場文化の多様性──階級を超える一杯 紅茶は、イギリス社会において長らく労働者階級のエネルギー源として語られてきましたが、それだけではありません。むしろ、時代が進むにつれ紅茶は、あらゆる職場、あらゆる階級 […]
はじめに 「Tea Tray(ティートレイ)」は、単なる給仕の道具ではなく、ヴィクトリア朝の家庭における“静かな舞台”でした。上流・中流階級の女性たちは、紅茶の味だけでなく、その出し方やトレイの整え方を通して、教養・品位 […]
Marmite Love it or hate it Marmite(マーマイト)は、イギリスで広く知られている黒くて粘り気のあるスプレッド(パンに塗るペースト)で、主成分はビール酵母の抽出物(yeast extract […]
イギリスの食文化における階級的特徴 🫖階級の映し鏡としての紅茶“Builder’s Tea vs. Darjeeling with Lemon” ☕Builder’s Tea — 労働者階級の「命 […]
☕️ 紅茶と合わせた階級文化の対比 🧀 Ploughman’s Lunch(農夫の昼食) Ploughman’s Lunch(農夫の昼食)はチーズ、ピクルス(Branston Pickleなど)、パン、リンゴ、時にはハム […]
🕵️♂️ ティーポットの中のスパイ ~紅茶と冷戦時代の諜報活動 「静けさの中に潜むもの」 紅茶、それは英国の象徴であり、日常の安らぎを提供する飲み物です。しかし、冷戦時代、そのティーカップの横には国家の耳と目が潜んでい […]
第2章:紅茶と外交官の儀式 儀礼の銀器と、沈黙の戦線 静かな外交、そして静かな戦線 紅茶は、ただの飲み物ではありません。特に外交の舞台では、それは礼儀の仮面をかぶった言葉なき対話となるのです。ティーカップを交わすことは、 […]
第3章:紅茶缶と隠されたもの― 茶葉より小さな記憶が密かに運ばれた ― 茶缶に潜む「静かな目線」― ごく普通の中にある“見えない選別” ― それは何でもない缶でした。棚の上に、他の缶と同じように並んでいました。ツヤのある […]
第4章 紅茶は味方か、敵か?── 二重底のテーブルで交わされた言葉 カップの持ち方、視線、第一口までの間──すべてが観察の対象であり、時に言葉以上に雄弁な情報を含んでいた。 1.静かな一杯に託された選別― ティーカップは […]
4.ダブルエージェントの沈黙― 語ることなく、選ばれる ― 彼は、口を開くことなく忠誠を問われていた。ただ、角砂糖を1個。それは答えでも、罠でもなかった。観察される者が仕掛ける、逆観察のはじまりだった。 🔍紅茶の所作にま […]
終章:紅茶というメディウム── 香りと沈黙の記録 (終章はテンポを出すために常態で書きます) 1.一杯の紅茶からはじまる再訪 午後の光が、古びた書斎の縁に斜めに差し込んでいた。開け放した窓の外では誰かが芝を刈 […]
中国紅茶への違和感 ラプサンスーチョンと雲南紅茶 今まで中国の紅茶というとキームン(祁門紅茶、またはキーマン)しか飲んだことがなかったのですが、今回Tea World netに中国の紅茶について書くに当たってラプサンスー […]
Anna Maria Russell (1783-1857) Anna Mariaの生い立ち Anna Mariaは1783年9月3日に11人兄妹の3番目の長女として誕生しました。父はアイルランド最高司令官に従事し、外交 […]
多才だったAnna Maria Anna Mariaの自画像 Anna Mariaが非常に素晴らしいアマチュア画家であったことも付け加えたいと思います。 この細密画には複数のバージョンが存在していて、Ireland(アイ […]
🫖第二次世界大戦とTea Time 🫖Boiling Vessel 第二次世界大戦中、イギリス軍は紅茶を「士気維持の武器」として極めて重視していました。あまり知られていませんが、チャーチルは兵士に配給する必需品として「弾 […]
🫖イギリス軍と紅茶 🫖NAAFI イギリス軍ではRingtons(リントンズ)によって独自にブレンドされた軍御用達の「NAAFI(The Navy, Army and Air Force Institutes)」という紅 […]
今回は紅茶と英国王室などに関して色々集めていた小話をいくつかまとめてみました。 Victoria 時代 👑ヴィクトリア女王とアフタヌーンティーの「礼法」 アフタヌーンティーというと、しばしばヴィクトリア朝の優雅なイメージ […]
20世紀 (2) 💃 ティー・ダンスと貴族社会 19世紀末から20世紀初頭のイギリスでは、「Tea Dance(ティー・ダンス)」と呼ばれる昼下がりの社交イベントが流行しました。 Tea Danceは、午後4時ごろから始 […]
各国の王室の好みや哲学が紅茶にどう表れているのか、そうした視点でティーカップをのぞくと、また違った味わいがあるかもしれません。 👑インド皇族と「ダージリンを育てた名家」 インドはかつてイギリス植民地でしたけれど、現地のマ […]
架空の名匠・日本で生まれた紅茶の物語 1990年代、世紀末が話題になっていた頃、日本で生まれた紅茶を巡る伝説や神話が創作されていました。今回はそのあたりの話を書いてみようと思います。 レスリー・スチュアート氏の謎 『紅茶 […]
Speciality Tea (スペシャリティティー)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この名称には国際的に共通した定義はありません。今回はこのSpeciality Teaという言葉を追いかけてみようと思います。 […]
各国のお茶の消費量 お茶の時間というと日本だとイギリス流のAfternoon Teaのイメージが圧倒的だと思いますが、世界各国、その国ごとにお茶の時間の特徴があります。今回はその辺りの概略をまとめてみようと思いました。 […]
ドイツ 紅茶の伝播 1610年ころオランダとの国境に近い東フリジアを経てドイツにお茶がもたらされました。茶は国産のビールよりも安く、100年のうちに東フリジアでは一番良く飲まれる飲み物となりました。 世界に先駆けて(と、 […]
英国王立化学会による『完璧な一杯の紅茶の淹れ方』でも触れられていたGeorge Orwell (ジョージ・オーウェル)による有名なエッセイ”A Nice Cup of Tea (一杯のおいしい紅茶)̶ […]
紅茶と科学 『英国式おいしいミルクティーの淹れ方』のHow to make a Perfect Cup of TeaでイギリスのThe Royal Society of Chemistry (王立化学会、略称:RSC)に […]
How to make a Perfect Cup of Tea 続き 水の硬度 • Avoid “hard” water as the minerals it contains gives rise to unplea […]
English Golden Rule 紅茶にはEnglish Golden Rule (英国式ゴールデンルール)というものがあります。ようするに「イギリス式のこうすれば美味しい紅茶が淹れられます」というルールです。それ […]
High Teaとは 労働者階級から生まれたHigh Tea お茶の時間言うとAfternoon teaのイメージが強いですが、イギリスの紅茶文化を築いたのはなにも上流階級ばかりではありません。High Tea (ハイテ […]
Nursery tea (ナーセリーティー)はChildren’s tea (チルドレンズティー)ともいいます。簡単に言えばAfternoon tea (アフタヌーンティー)の子供版です。今回はこのお茶の時間についてです […]
紅茶占い(Tasseography / タッセオグラフィ) ハリーポッター 紅茶占いと聞いて「ああ、あれか」と思う日本人は少ないと思います。もし知っている人がいるとしたらよほどの占い好きか、あとはハリーポッターシリーズの […]
紅茶の飲み方あるいは淹れ方 紅茶と一言で言っても、色々な淹れ方があります。簡単にその辺を眺めていくことから始めたいと思います。 紅茶はそもそも淹れ方にこだわるべきか? これはそもそも論になりますが、結論から言えば紅茶とい […]
夏目漱石と森鴎外 夏目漱石の日記 夏目漱石は明治33年9月から35年12月まで2年あまり、ロンドンに留学していました。漱石はロンドン留学中のことを日記として残していますが、誰かに見せることも特に考えず、備忘録的なもので、 […]