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紅茶の缶
紅茶の缶はどのメーカーも何年かごとにデザインや形を変えます。昨今ではコストを抑えるためか凝った形のものは減っていき、ただの四角い缶や円柱形のものなどのシンプルな形状になっていく傾向が見受けられます。紅茶の缶は綺麗なデザインのものが多いので、廃盤になった紅茶の缶やデザインチェンジする前の缶は空き缶にプレミア価格がついて流通したりします。下の写真のWEDGWOODの缶なども今では空き缶にプレミア価格がついて取引されています。
もちろん、売ったりする気はないのですが素敵な缶が多いので処分できないんですよね……
結果としてたくさんの空き缶が棚の上を占拠するようになってしまうのです。そろそろ置き場を他に考えないと、なのです。

紅茶の等級(グレード)
紅茶の等級
紅茶の等級(グレード)というと、上級、中級、下級などのランク付けのようですが、そうではなくて「茶葉の状態(サイズや形状)」の事を指します。大きく分けると「オーソドックス製法」と「CTC製法」に分けられます。リーフ状の場合とティーバッグ用ではまた多少違ったりするのですが、くまはアイスティーを大量に作るときなどの例外的な場合を除いてはリーフティー一辺倒なので、リーフティーに限った話とさせて頂きます。もちろん、ティーバッグも便利で美味しいと思いますし、リーフティーと味や香りで負けるとも思っていません。でも、淹れる時にお湯の中で茶葉がジャンピングしているのを眺めたりするのも紅茶の楽しみの一部となっているのでリーフティーばかりになるのです。
オーソドックス製法
オーソドックス製法には大きな茶葉から小さく砕いた茶葉までを4種類に分けます。

紅茶の主な等級
OP(Orange Pekoe / オレンジペコ―)
製茶仕上げが終わった原料茶葉の長さが7~11mmで針金状のものです。葉は撚りのかかった大型の茶葉で葉肉は薄く、水色はオレンジ色で薄いです。こうしたものをOPといいます。橙黄色の芯芽フラワリーを多く含んだものがFOP(Flowery Orange Pekoe/フラワリー・オレンジ・ペコー)で、芽吹いたばかりの一番上の葉をさします。上品な味わいで香り高く、高級茶に多く含まれます。茶葉をカットしていないホールリーフタイプはこの他、P(Pekoe/ペコー)、S(Souchong/スーチョン)などがあります。

BOP(Broken Orange Pekoe/ブロークンオレンジペコー)
OPを揉捻する際に機械でカットしたものでサイズは2~4mm。最も多く新芽を含む上級品が多く市販品の多くはこのタイプです。OPとBOPでは製造方法が違い、OPはやわらかく揉みながら葉をよるのに対し、BOPは上から強く圧力を加えて、押さえつけたまま揉み、茶葉をカットしていきます。
水色は濃く、コクがあり、香りに優れていて、水色、香りともに短時間でしっかりと抽出できるので人気があります。茶葉をカットしたブロークンタイプはこの他、BP(Broken Pekoe/ブロークンぺコー)などがあります。

BOPF(Broken Orange Pekoe Fannings/ブロークンオレンジペコーファイニングス)
BOPFはBOPの茶葉よりさらに細かくカットされたものでサイズが1~2mmのものです。BOPを篩いにかけたときに落ちるくらいの茶葉ともいわれています。BOPFよりやや大きめのものを「PF(Pekoe Fannings/ペコーファニングス)」さらに若干小さめのものを「F(Fannings/ファニングス)」といいます。BOPより香りも水色も濃く、より早く出るため上級品のティーバッグによく使用されます。

D(Dust/ダスト)
工場で作られる紅茶の中でもっともサイズが細かい1mm以下の粉状の茶葉のことをいう紅茶の業界用語です。クズ、チリ、ホコリなどを意味するわけではありません。
分級紅茶(Brokens/ブロークンズ)を作る場合、BOP、BOPF、Fなどと一緒にできるもので良質のダストは高値で売買されることも多くあります。通常のダストはインドなどの生産国の人々の日常用の紅茶として、日々大量に消費されます。水色が濃く、味も強く早く出るのが特徴です。紅茶のケーキなどの製菓用として使われるのもこの等級のものが多いです。

CTC製法
細かい粒状でティーバッグによく使われます。
CTC製法はアンオーソドックス製法とも呼ばれます。
特殊な揉捻機を使用して行う、CRUSH(押しつぶす)、TEAR(引き裂く)、CURL(丸める)の頭文字をとった製法です。
CTC製法の機械には、ステンレス製のローラーが2本ついており、2本のローラーを回転させローラーにつけられている突起や刃型で、茶葉の組織細胞を壊して細かく切断します。茶葉から出る汁が葉の繊維についたまま乾燥させられるので、茶葉の色は赤茶色になります。

CTC機
サイズは細かいサイズのものの方が渋みが強く、濃い味わいがあるといわれています。熱湯をかけると短時間で溶けて強い香りと水色が出ます。CTC製法でつくられるのは、一般的には個性の弱い茶葉とされています。アフリカで生産される茶葉のほとんどがこのタイプです。また、CTC製法では意図的に発酵を強くするため、産地による茶葉の違いが消えてしまいがちです。
ティーバッグの需要増加に伴いCTC製法の茶葉の普及率が高まり、現在の紅茶の生産量の半分を占めています。
くまの個人的な意見としてはCTC製法の茶葉はミルクティーにあうように感じています。

以上が紅茶の等級についての解説でした。
ここまででわかっていただけたと思いますが、紅茶の等級と美味しさはまったく関係ありません。たとえば質の悪いOrange Pekoeより、質の良いDustの方がずっと美味しいです。
さらに細かくすると
紅茶の茶葉を形容する用語
形容するというのは「形、有様を言い表すこと」ですが、ようするに「さらに詳しく説明するための用語」ということです。以下によく使われる用語をあげておきたいと思います。
S (Special/スペシャル)は「特別な」という意味です。
F(Fine, Finest/ファイン、ファイネスト)は「素晴らしい」という意味です。
※SとFは基準というより紅茶会社の商品群の中で質の良い商品であることをさしていることが多いです。もしくは何にでもSとかFを付けてしまっている紅茶会社もあります。なので、あくまでも参考程度の用語です。
S(Silver/シルバー)は、一芯二葉の芯の部分のみを乾燥させたものです。この芯が細かい銀色の産毛で覆われていることからSilver Tips(シルバーティップス)と呼ばれるのです。これが多く含まれていることを表しています。
T(Tippy/ティッピー)は、茶樹の枝の最先端にある、芽生えたばかりでまだ葉が開いていない状態の新芽が多く含まれているということで高級品になります。当然値段も高額になります。
G(Golden/ゴールデン)は、新芽表面の産毛が発酵時に紅茶液で黄金色となったものをGolden Tips(ゴールデンティップス)と呼び、これが多く含まれている茶葉を指します。ティップスの色と水色の両方を表現しているともいわれています。
ここまでで
「それではS、T、Gは全部新芽みたいだけど、どこがどう違うの?」
という疑問をお持ちの方がいると思います。実はくまもそうでした。
そもそも、本当のS、T、Gは価格もさることながら、よほど運がよくなければ、もっといえば運命的な出会いがなければ(ちょっと大げさかな?)手に入りません。
実を言えばくまも今までに1回しか飲んだことがありません。紅茶の輸入業の小さい会社を経営している友人が「たまたま手に入った」と言って茶葉を見せてくれて、その時にご馳走してくれたのです。そのくらい(専門の紅茶業者が「たまたま」というくらい)手に入れるのが難しいものなのです。
話を戻しますが、結局
S、T、Gは全部新芽で呼び方を変えているだけで同じもの
というのがくまなりの結論でした。もっとも、くまもSしか飲んだことがないので、飲み比べをしたことのある幸運な人に言わせたら違うのかもしれません。ちなみにその友人によるとGは色もそうですが「GoldenはSilverよりゴージャスな感じがする」という現地の茶園経営者の思いつきが元でできた用語だそうです。
F(Flowery/フラワリー)は「花のような香り」という意味です。紅茶も産地や摘む時期によって香りが色々あると思うのですが、香りに関しての用語は(紅茶会社が独自に考えたのを別とすれば)他には無いようです。
もっと細かく分類することはできますが、大体このくらいのことを知っておくと、紅茶を選んだり、ミルクティーにするかストレートか、レモンティーか、といった飲み方を選ぶ時に選ぶ基準になると思います。