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☕️ 紅茶と合わせた階級文化の対比
🧀 Ploughman’s Lunch(農夫の昼食)
Ploughman’s Lunch(農夫の昼食)はチーズ、ピクルス(Branston Pickleなど)、パン、リンゴ、時にはハムや茹で卵などが一皿に盛られた冷たい食事のことです。パブ料理の定番です。
名前の通り、労働者階級(特に農業労働者)由来の素朴な食事です。ただし、1970年代にマーケティングで再定義され、観光地やガストロパブでは「伝統イングリッシュランチ」として中〜上流層にも浸透しています。
昼食にはエール(ビール)と共に供されることが多く、紅茶とのペアリングは少ないですが、温かいミルクティーと合わせる例も見られます。

🍖 Sunday Roast(サンデーロースト)
Sunday Roast(サンデーロースト)は日曜昼に食べるイギリス伝統のロースト肉料理です。牛・鶏・羊などのローストに、ローストポテト、グレイビー、ヨークシャープディング、茹で野菜が添えられます。
すべての階層に共通の伝統的料理です。ただし、素材の質や付け合わせ、テーブルマナーで階級的差異が出ます(例:organic beef vs frozen chicken)。
食後に紅茶+ケーキで〆る家庭が多いです。ティータイムと融合する家庭文化的儀式の一部です。

🩸 Black Pudding(ブラッドソーセージ)
Black Pudding(ブラッドソーセージ)は豚の血、脂、オートミールなどを混ぜて腸詰めにしたソーセージです。イングランド北部やスコットランドで特に人気があります。
典型的な労働者階級の朝食素材です。栄養価は高いですが、見た目や素材から敬遠されることもあり、上流階級では忌避されがちです。


フルイングリッシュブレックファスト(Full English breakfast)に含まれ、濃いミルクティー(Builder’s Tea)とよく合います。

🥟 Cornish Pasty(コンウォールのパイ)
Cornish Pasty(コンウォールのパイ)は、肉・野菜(主にじゃがいも、タマネギ、カブ)を詰めたパイです。元々は鉱山労働者の弁当用です。片手で持ち、手を汚さずに食べられるよう設計されています。
労働者階級の伝統食です。ただし、地域アイデンティティの象徴でもあり、今日では全国チェーン(Greggsなど)や観光土産にもなっています。
紅茶と合わせて食べる伝統があります。特にミルクティーと相性良好です。

🌭 Bangers and Mash(ソーセージとマッシュポテト)
Bangers and Mash(ソーセージとマッシュポテト)はソーセージ(bangers)とマッシュポテト(mash)をグレイビーソースで食べる家庭料理でパブ飯の代表でもあります。
中〜下層階級の家庭料理の代表です。安価なソーセージ(爆ぜる音=”bangers”の語源)が名前の由来です。
ビールとの組み合わせが多いですが、ティータイムにずらして提供されるケースもあり、紅茶とも無理なく合います。

🎩イギリスの食文化における階級的特徴
以下の料理は、紅茶とのダイレクトな関係があるかないかというより、「紅茶と並ぶことで階級・文化が際立つ」存在なのです。
🍞 Beans on Toast(ビーンズ・オン・トースト)
🍴どんな料理?
トーストした食パンに缶詰のベイクトビーンズ(シロインゲン豆のトマトソース煮)をのせただけの超シンプル料理。安価・調理不要・栄養ありの典型的庶民食/学生食です。
🧱 階級文化との関係
労働者階級・学生・独身男性の“手抜き飯”として定番です。イギリス家庭料理の最低限レベルとしても冗談交じりに語られる。
☕ 紅茶との関係
強いミルクティーやBuilder’s Teaが合います。塩気・トマトの酸味と紅茶のタンニンが意外に調和するのです。朝食や軽食としての紅茶と一緒に楽しまれます。

🌾 Porridge(ポリッジ)
🍴どんな料理?
オーツ麦(ロールドオーツ)を牛乳や水で煮た粥状の朝食です。塩やバターを加える塩味系、蜂蜜やフルーツを加える甘味系があります。
🧱 階級文化との関係
元々はスコットランドや北イングランドの寒冷地労働者の主食です。近年は健康志向から中上流階級のヘルシー志向朝食として再評価されています。
☕ 紅茶との関係
朝食紅茶(English BreakfastやCeylon系)が定番です。無糖のポリッジには砂糖入り紅茶、甘いトッピングにはストレートティーが好相性。

🐟 Jellied Eels(ゼリー寄せウナギ)
🍴どんな料理?
ロンドン東部の伝統料理です。ウナギを煮て煮汁ごとゼリー状に冷やした保存食です。現代では珍味・郷土食扱いになっています。
🧱 階級文化との関係
19世紀の貧困層や港湾労働者向けの高タンパク保存食です。East Endの“コックニー文化”に根ざす庶民のソウルフードです。
☕ 紅茶との関係
食事中に紅茶を飲むよりも、食後に紅茶で口直しという文脈が多いです。ウナギの濃厚さを流すには、アッサムやケニアなどの強い紅茶が効果的です。

🥚 Scotch Eggs(スコッチエッグ)
🍴どんな料理?
ゆで卵をソーセージ肉で包み、パン粉をつけて揚げた携帯可能なプロテインおやつです。パブ、ピクニック、学校ランチでおなじみです。
🧱 階級文化との関係
起源は上流階級の狩猟用携帯食ですが、現在は庶民的スナックとして定着しています。パブメニューの定番として階級を横断する存在です。くまも好きです。
☕ 紅茶との関係
スナック扱いなので、軽いアフタヌーンティーのセイボリー枠にも登場可です。脂っこさを抑えるため、レモン入りのストレート紅茶やウバ系の渋みある紅茶が合います。

🦌 Game Meats(ジビエ料理)
🍴どんな料理?
鹿・ウサギ・キジなど、狩猟による野禽肉・獣肉の料理全般です。いわゆるジビエ料理ですが元々は狩り(game)の獲物の肉、という意味です。ロースト、パイ、煮込みなどに使われる。
🎩 階級文化との関係
元々は貴族・地主階級の狩猟文化の象徴です。“shooting season”の終わりにふるまわれる、格式ある肉料理です。ただし近年はジビエの再評価で一般流通も増加しています。
☕ 紅茶との関係
ローストと紅茶のペアリングは格式高いティールームやハンティングロッジの定番です。肉の風味を引き立てるため、セカンドフラッシュ・ダージリンや、スモーキーな中国紅茶(ラプサンスーチョン)が選ばれることが多いです。

🍹 Pimm’s(ピムス)
🍴どんな飲み物?
ベースはジンにハーブや柑橘を漬けたリキュールです。No.1~No.6まで存在していて、それぞれ成分と味が違います。フルーツやハーブ、レモネードと割って飲む英国式カクテルです。
🎩 階級文化との関係
中~上流階級のサマーパーティー・テニス観戦(例:ウィンブルドン)での定番です。上品なアルコールとして「社交の味」とも呼ばれます。
☕ 紅茶との関係
直接的なペアリングは少ないですが、“午後のティーガーデン”文化のアルコール版とも言えます。つまり、
紅茶の出番=正統派/Pimm’sの出番=洒落た余暇
という補完関係にあるのです。

