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High Teaとは
労働者階級から生まれたHigh Tea
お茶の時間言うとAfternoon teaのイメージが強いですが、イギリスの紅茶文化を築いたのはなにも上流階級ばかりではありません。High Tea (ハイティー) は1800年代後半、スコットランドや北イングランドの地域の労働者階級から始まったものです。
当時の労働者たちは、午後の遅い時間帯にスコーンやケーキをゆっくり楽しむAfternoon teaを優雅に楽しむことが難しく、そんな時間もありませんでした。そこで労働後に紅茶を飲むスタイルをとり始めました。つまり労働が終わって夕方帰宅してからダイニングキッチンで、夕食をたっぷりの紅茶で頂いたのがHigh Teaの始まりです。この労働者階級の人たちの習慣が中産階級や上流階級の人々に影響を及ぼして定着していったものです。

High Teaの名前の由来
High Teaの名前の由来には諸説あります。high back chair(ハイバックチェア / 高い背もたれのあるイス)に座ったからだとか、伝統的に低くて快適な応接室の椅子や庭でくつろぎながら出されるアフタヌーンティーが「ロー(低い)」テーブルであったのに対して、ダイニングテーブルは高かったからその比較から、という説もありますし、High Teaで食べるティーフードが労働の後のお腹がすいた時間だから必然的にハイカロリーになっていたからなどの説もあります。
今日でも、労働者階級の家庭では夕食を「tea」と呼ぶことが多いですが、労働パターンが時代と共に変化したため、「tea」と呼ばない家庭も増えてきています。

近年は仕事の後に行く、コンサートや観劇前の軽い食事を兼ねたお茶の時間を指すことも増えてきています。
High Teaで出される食事
High Teaでは、肉が重要な役割を担います。そこから別名の「meat tea」という言葉も生まれました。Afternoon teaの定番のスコーン、サンドイッチに加えて、ローストビーフ(チキン)等の肉料理、サラダ、パイ、チップ、卵料理、チーズ、デザート、果物等と言う感じで「お茶のお供」というよりはしっかりとした食事というイメージです。ビールなどのお酒を一緒に飲むこともあるのも特徴です。このHigh Teaを中産階級の人たちが取り入れたことで出される食事内容も豪華なものになっていきました。

High TeaとAfternoon teaの違い
Afternoon teaと比べるとHigh Teaがよりわかりやすくなります。今までの話と重なるところがありますが、ここで一度整理します。
まずは時間帯です。Afternoon teaが15時から16時頃にかけて楽しむのが一般的ですが、High Teaは17時から19時頃に行われます。
次に料理内容です。Afternoon teaが軽食であるのに対して、High Teaではボリュームがあるしっかりとした食事というようになっています。
すでに述べたように、テーブルの高さも違います。Afternoon teaが低めのローテーブルで準備されるのに対して、High Teaでは背の高いダイニングテーブルで用意されます。
最後に、Afternoon teaがイギリスの上流階級の女性の間で発祥したものが中産階級などに広がって行ったのに対して、High Teaは労働者階級発祥の習慣が中産階級や上流階級に広がって行ったという正反対の歴史があります。
High Teaの広がり
色々なHigh Tea
ハイテーブル(背の高いテーブル)でしっかりとした食事と共に紅茶を楽しむという意味で、本来の17時から19時くらいに行われるHigh Teaと同じHigh Teaを「Evening High Tea」と呼び、ハイテーブルで朝食とお茶を兼ねたものを「Morning High Tea」、更に夜20時以降にスイーツ等と共にハイテーブルでお茶を楽しむ「Night High Tea」と呼ぶ、なども最近では見る事ができます。現代のHigh Teaは、時間帯やコンセプトに応じて多様化してるといえます。

スコットランドのHigh Tea
スコットランドでは、High Teaがさらに特徴的になっています。スコットランドのHigh TeaはAfternoon teaのような軽食が出る点でAfternoon teaと似ているところがありますが、それにチーズトーストや肉料理などの温かい食べ物が同時に提供されます。

High Teaに合う紅茶
本来のHigh Teaには、香りがおとなしく、癖があまりなく、味のしっかりした紅茶があうとよく言われていますが、Night High Teaならスイーツに合わせて思い切ってアップルティーやベリーティーなどを用意するのも良いと思います。Morning High Teaなら、AssamやEnglish breakfastがふさわしいかもしれません。