英国海軍と紅茶

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🫖イギリス軍と紅茶

🫖NAAFI

イギリス軍ではRingtons(リントンズ)によって独自にブレンドされた軍御用達の「NAAFI(The Navy, Army and Air Force Institutes)」という紅茶があります。1920年からずっと、軍隊でのみ愛飲されていた他では手に入らない紅茶です。

naafi tea
naafi tea Credit : Photo: Naafi Handout/PA Wire

ベルリンのイギリス軍に所属していた男性が、退役後、他の紅茶を飲んでいたのですが、軍隊時代に愛飲していた「NAAFI」が忘れられなくて、その紅茶を作っていたのがRingtonsだったことを知り、「Traditional」が同じようなブレンドだと教えてもらい、それから20年以上愛飲しているという話があります。興味がある方は「Traditional」を試してみてはいかがでしょう?

実際にこの「NAAFI」のブレンドを任されていたリントンズのブレンダーも“a similar tasting tea”と言っているそうです。

リントンズジャパンの公式サイトはこちらから行けます。ここから紅茶を買ってもくまにはアフィリエイト報酬などはありませんので安心して(?)お買い求めください。

RINGTONS
RINGTONS

🫖イギリス軍の紅茶の淹れ方

イギリス軍には公式の紅茶の淹れ方があるそうです。それは次の2通りだそうです。

🫖イギリス軍の紅茶の淹れ方 (ティーポット用)

1°ティーポットをあたためる
2°ティーポットにティーバッグを1包入れる
3°即座に新鮮な熱湯を注ぐ
4°抽出時間は3~5分 ※濃い方が好きなら5分
5°カップにミルクを先にいれておく
6°カップにティーポットの紅茶を注ぎ入れて完了

しかし、いつも余裕があるとは限りません。戦地ではいきなり状況が変わることなど、いつものことです。そこで、

🫖イギリス軍の紅茶の淹れ方(急いで淹れなくてはいけない時)

1°マグカップにティーバッグを1包入れる
2°即座に新鮮な熱湯を注ぐ
3°色が濃く出たら、ティーバッグをとる
4°ミルクを後からいれて完了

※ 茶葉の香りやコクを十分に楽しみたければ、もう少し長めにティーバッグを抽出することを勧める。

いつ何が起きるか分からない、軍隊らしい淹れ方です。

🫖イギリス海軍と紅茶

🫖船上のティータイム

イギリス海軍(Royal Navy)では19世紀から20世紀にかけて、紅茶は水よりも安全な飲み物とされていました。長い航海では飲料水の品質が悪化するため、沸騰させて淹れる紅茶がむしろ衛生的だったのです。さらに紅茶には、ビタミンCの摂取を助けるため、レモンやライムを加えることもありました。これは壊血病の予防にもなると信じられていたのです。

🫖ラム酒の廃止と紅茶

1970年、海軍は長らく続いていた「ラム酒の配給(Daily Rum)」を正式に廃止しました。その代替として、「午後の紅茶(Afternoon Tea)」が艦内の標準文化となり、紅茶が名実ともに「英海軍の公式飲料」として定着しました。

🫖揺れる海上でもお湯を確保

戦艦や空母の厨房には専用の湯沸かしシステムが整えられ、海が荒れていてもお湯を絶やさず、ティータイムを可能にする仕組みが作られていました。茶葉はもちろん、コンパクトに真空パックされた、味が濃くて抽出が早い特別仕様の紅茶であるNAAFIです。

🫖イギリス潜水艦と紅茶:深海の静寂にて

🫖静寂の中の儀式

潜水艦内は完全密閉で、時間も天候も地上とは隔絶された世界です。そんな中でも、“紅茶の時間” だけは崩さないという規律があるほど、潜水艦乗組員にとっての紅茶は重要でした。特に長期任務では、一日数回の紅茶ブレイクがクルーのメンタルを支える支柱となっているのです。

🫖ノイズ対策

音を立ててはいけない環境で、ティーカップの「カチャッ」という音を避けるため、プラスチック製やシリコンパッド付きのカップを使うこともありました。お湯は静音設計のヒーターで慎重に沸かされ、紅茶の準備にも細心の注意が払われているそうです。

🫖特別なブレンド

潜水艦では空間が限られるため、特別にブレンドされた、短時間でしっかり色と味が出る濃い紅茶が選ばれます。また、カフェインを抑えたブレンドが採用され、長時間勤務のクルーにとっては体調管理の一助となっていました。

🫖海と紅茶は英国の誇り

イギリスが「海の国」として築いてきた歴史の中で、紅茶は常にその傍らにありました。海軍も潜水艦も、遠く離れた海上や深海のなかで、一杯の紅茶が「祖国を感じる瞬間」でもあるのでしょう。