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定義
イギリス陸軍の装甲戦闘車両に搭載される電気式の湯沸かし・加熱装置です。車両の24V電源で作動し、飲料用の湯を作るほか、レーション(缶/パウチ)を温めるのが主目的です。俗称で BV、のちに「Cooking Vessel(CV)」とも呼ばれます。
歴史
第二次大戦中、英軍は車外で即席のベンガジ・バーナー(燃料缶の簡易コンロ)を使って“brew-up(お茶タイム)”をしていました。これは危険・非効率だでした。
終戦間際に登場したセンチュリオン戦車で、ターレット内に電気式BVが搭載され、以後の車両で標準化していきます(戦後1945年以降に本格普及)。
実際の用途
- いちばんの用途はレーションを温めること。熱湯は飲料(紅茶・コーヒー・スープ)や洗浄にも使います。
- 乗員の最下位クラスが“BV Commander”としてお茶係を担うのは有名な内輪ネタです。事実、無線手と機銃手は紅茶を淹れることが業務の一環となり、「When in doubt brew-up」(困った時の湯沸かし)という言葉が生まれるほどでした。
- 本来は食料を温めたりするお湯を作る機械なのですが「紅茶を飲むためにお湯を沸かす装置」と言われたりもしています。
よくある誤解
- 「紅茶専用装置」ではありません。湯と食料加熱の多目的ヒーターです(もちろん紅茶にも使える)。
- 「第二次大戦全期間で車内BVを使っていた」わけではありません。終戦期に登場し、戦後に定着したのが実情です。
関連語
- Benghazi burner(ベンガジ・バーナー):大戦中に使われた即席コンロ。
- brew-up:「ひと休みしてお茶を淹れる」の兵士スラング。
海外では
- boiling vessel (BV)
- cooking vessel (CV)
- vessel, boiling, electric (VBE)
などと呼ばれています。
🫖紅茶文脈での使い方(英和例文)
💠基本例文
- The boiling vessel keeps water hot for rations and tea during long ops.
(ボイリング・ベッセルは長時間の行動中、レーションやお茶用の湯を確保してくれる。) - Since the Centurion, British tanks have been fitted with a BV as standard.
(センチュリオン以降、英戦車には標準装備としてBVが搭載されている。) - When in doubt, brew up—but these days we do it safely with the BV.
(困ったらブリュー・アップ(一服)――いまはBVで安全にやる。)
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