コーニッシュ・パスティ(Cornish Pasty)

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Cornish Pasty
Cornish Pasty

概要

コーニッシュ・パスティ(コンウォールのパイ)は、肉・野菜(主にじゃがいも、タマネギ、カブ)を詰めて焼き上げた半月形のパイです。外側は厚めのクラストで、長時間持ち歩いても崩れにくい構造になっています。元々は鉱山労働者の弁当用です。片手で持ち、手を汚さずに食べられるよう設計されています。


歴史と背景

鉱山労働者の弁当

コーンウォール地方の錫鉱山で働く労働者の食事として発展しました。熱々に焼かれたパスティは中身が冷めにくく、片手で持って食べられるため、坑道の中でも食事が可能でした。

「端っこを捨てる」習慣

労働者は手を汚さないように分厚いクラスト部分を「持ち手」として使い、最後は捨ててしまうことも多かったと伝えられています。これには鉱山の粉塵やヒ素を避ける衛生的な理由もありました。


社会的意味

  • 労働者階級の伝統食である一方、地域アイデンティティの象徴ともなっています。
  • コーンウォールでは「Cornish Pasty」の名称はEUの 地理的表示保護(PGI) に登録されており、伝統的な製法と産地が尊重されています。
  • 現代では観光土産やチェーン店(Greggsなど)でも手軽に購入できる「全国区の軽食」となっています。

紅茶との関係

コーニッシュ・パスティは労働者食でありながら、紅茶とともに楽しむ習慣も根付いています。特にミルクティーと相性が良く、今日ではカフェやティールームでもよく組み合わせて提供されます。


🧸くまの一言

  • 「パスティを持たずに海外へ行くとホームシックになる」とまで言われ、コーンウォールの人々にとっては精神的な故郷の味なのだそうです。ソウルフードなのでしょうね。
  • イギリス海軍の兵士や移民とともに世界中に伝わり、オーストラリアや米国ミシガン州の鉱山町でも独自のパスティ文化が根付いています。
  • くまはパイ料理は大好きなので一度食べてみたいと思っているのですが、いまだに食べたことがありません。日本の「英国展」などの催事では、ほとんど見かけない料理なのです。一般にスコーンやフィッシュ&チップスに比べ、知名度や提供のしやすさで劣るためといわれていますがもっといくつかの理由が重なっていると思っています。第1にサイズと保存性の問題です。出店形式だと焼き立てを提供しづらいですし、パイは冷めると魅力半減してしまいます。第2に日本人にとっての知名度が低いことです。そして第3にコーンウォールを象徴する料理ですが、ロンドンや観光地でも定番というわけではないことです。要は現地でも「ローカル色」が強いからです。これらを合わせるとたしかに「イギリス展」などでは扱いにくいものなのでしょう。
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