ティーオークション(Tea Auction)

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定義

産地側のロットを、出品カタログ・事前テイスティングを経て競売で売買する仕組みです。

出品者(生産者/工場)・ブローカー・買い手(バイヤー/ブランド)が関与して、等級・産地・季節・官能評価を基に価格が決まります。


流れ

1.出品決定

生産者や工場がロット(等級・重量・シーズン等)をまとめ、ブローカー経由で出品します。

2.カタログ & サンプル配布

ロット一覧(カタログ)が作られ、少量サンプルが買い手へ配布されます。

3.テイスティング

各オークションでは、出品カタログ作成後にブローカーが代表サンプルを買い手へ配布し、買い手・ブローカー側のラボで事前テイスティング(カッピング)と評価を済ませます。ここで各社は事前にテイスティングして「買ってもいい上限価格(自社上限)」をメモしておきます。

テイスティングについては各オークションで取り決めがあります。例えば、ケニアのモンバサでは「買い手に事前サンプルを提供して味を見る」と明記、インドの公的ルールでも「ブローカーがオークション前にテイスティングと評価を行う」と規定されています。

タイムラインは会場ごとに少し違い、コロンボ(スリランカ)では約3週間前から買い手にサンプル提供、インドでは販売週の約1週間前に配布などの運用例が示されています。またスリランカでは紅茶局のテイスティング部門がブローカーから事前サンプルを受け取り評価する仕組みもあります。

要するに、当日会場で初めて味を見るわけではなく、入札前に味は見切っている、これが標準的なプロセスです。

4.競り

競争入札です。

オークショナー(司会)がロット番号ごとに価格を少しずつ上げる「せり上げ」を行い、入札者が手信号や端末で応答します。入札はスピーディです。値段は最小刻み(インクリメント)で上昇し、誰も上げなくなった価格が落札(ハンマー)です。最後まで手を上げた人のものになります。

売り手側の最低価格(リザーブ)に届かなければ「流れ(Unsold)」になることもありますが、中にはとんでもない高値が付くこともありますし、逆に信じられないほど安く競り落とされることもあります。

5.清算・引き取り

手数料・税等を加えて決済 をして 物流手配(港から出荷/国内配送)をします。
買い手は落札ロットをブレンドしたり、そのまま製品化したりします。


価格はどう決まる?

  • 味・香り・外観(事前テイスティングの評価)
  • 希少性(ファーストフラッシュの出来、天候不順、人気農園の出来栄え)
  • 需要(今ほしい味筋=ブレンドの足しに合うか)
  • リスク要因(為替・運賃・認証要件・残留農薬基準の適合 など)

よく出る用語

  • ロット(lot):同一条件でまとめられた出品単位のことです。
  • ブローカー(broker):出品の取りまとめ・サンプル配布・手続きの仲介をする人(会社)です。
  • ハンマー価格(hammer price):落札価格(ここに手数料や税が加わる)のことです。
  • 流札/Unsold:買い手がつかず売れ残りになることです。
  • 入札上限(limit):各社が事前テイスティングを踏まえて決めた「ここまでなら買う」社内基準のことです。

具体例(イメージ)

  • あるブランドは、今年のセカンドフラッシュを「香り強め」に仕上げたい。
  • 事前サンプルを味見して A・B・C の3ロットに目星を付け、上限価格を社内で決めて当日へ。
  • 競りでAは上限超え→見送り、Bは上限内で落札、Cは流札。
  • 落札したBロットは自社の他素材とブレンドして、いつもの味に整える。

🫖紅茶文脈での使い方

💠例文

  • Prices firmed at this week’s tea auction due to limited first-flush supply.
    (今週のティーオークションは、ファーストフラッシュの供給が限られたため相場が堅調だった。)
  • Our buyer bid for two lots after the tasting session.
    (テイスティング後に、当社のバイヤーが2ロットに入札した。)

🐻くまの用語チェック

  • firmed(相場):堅調・上向き基調
  • first-flush:春摘み
  • bid for:入札する
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