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概要
ティーレース(Tea race)は、英語ではtea race / tea races(Great Tea Race )などと表記されます。
同義の言葉に茶競走などがあります。
紅茶の新茶を最速で欧州市場へ届けることを目的に、19世紀中葉のティークリッパー同士で行われた長距離の「早着競争」です。契約上の到着プレミアム(割増運賃・賞与)と世間の関心が結びつき、経済的・文化的イベントとなりました。
関連規格/典拠
代表的事例
1866年の大競走(Taeping・Ariel・Serica)、1872年 Cutty Sark vs Thermopylaeがあります。ちなみに勝ったのはThermopylae でした。1872年の上海(呉淞)→ロンドンのティーレースで、Cutty Sarkは喜望峰沖で舵を失い洋上で仮舵を作って続航したものの、ロンドン着はThermopylaeより約1週間遅れでした。出帆は6月17日、事故は8月15日前後と記録されています。
記録類
当時の新聞・港湾入港記録・船会社文書・保険記録(Lloyd’s ほか)
資料
海事博物館・保存船(例:Cutty Sark)の解説、造船台帳
目的/機能
初荷の価格プレミアムと鮮度価値の獲得。ロンドン到着順が商社の評価・次航の運賃条件にも影響しました。
範囲/定義境界
正式なレガッタではなく、商業航海の枠内で期せずして同時出帆・同航路となった船が、契約のプレミアム条項を背景に競走したもの。主舞台は中国(福州・上海など)発→ロンドン。
類似/対比
一般のクリッパー競争(羊毛・香辛料等)に比べ、ティーレースは季節性(新茶)と市場初着の影響が顕著でした。蒸気船は定時性+スエズ運河(1869)で優位となり、ティーレースは急速に縮小しました。
歴史的背景
1840年代:米発のクリッパー船が高速帆走で台頭、英でも発展。
1860年代:ティークリッパーが性能を競い、福州—ロンドンのティーレースが熱狂を集める(賭け・報道・ファンクラブ)。
1866年:大競走。Taeping が Ariel に僅差先着の名勝負。
1869年以降:スエズ運河開通+蒸気船普及で優位性を喪失。
現代:カティーサーク保存船などが時代の象徴として継承。
🫖紅茶文脈での使い方(英語短文)
英文:In the tea races, premiums were paid to the first clipper docking in London.
和訳:ティーレースでは、最初にロンドンに入港したクリッパーにプレミアムが支払われました。
英文:The 1866 tea race became famous when Taeping arrived just ahead of Ariel.
和訳:1866年のティーレースでは、Taeping が Ariel に僅差で先着し、有名になりました。
英文:After the Suez Canal opened, tea races quickly lost economic significance.
和訳:スエズ運河の開通後、ティーレースは経済的意義を急速に失いました。