アール・デコ(Art Deco)

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📜 時代背景

1920〜1930年代を中心に、パリから世界へ広がった装飾様式です。

正式名称は「Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels Modernes(1925年パリ万博)」に由来します。

アール・ヌーヴォーの有機的曲線に代わって、直線・幾何学・対称性・金属光沢といったモダンな意匠を重視し、産業化・都市化の時代精神をデザインに昇華させました。


🫖 紅茶との関係

アール・デコは、紅茶文化における「近代性」の象徴です。

ガラス・クロム・黒漆・エナメルなど新素材を用いたティーセットや、直線的な装飾を持つシルバーポットが流行しました。

特に1920年代のロンドンやパリでは、ティールームが社交の中心として発展し、「昼の都会的サロン」としての紅茶空間が形成されました。

ティーウェアのデザインには、クラリス・クリフ(Clarice Cliff)らのような女性デザイナーが登場し、鮮やかな幾何学模様や彩色が新時代の気分を映し出しました。


💬 文化的意義

アール・デコの紅茶文化は、装飾を通じて機能と美の調和を追求しました。

それは「紅茶=貴族的な儀式」から「紅茶=個人のスタイル」へと価値観を変化させた転換点でもあります。

黄金色に輝くティーカップの縁取りや、直線的なティーポットのシルエットは、「美しい日常」を実現した近代デザインの到達点であり、のちのバウハウス的合理主義にも接続します。


🧸くまの一言

「アール・ヌーヴォー」が自然と曲線の美学で紅茶を包み込んだなら、「アール・デコ」は直線と光の美学で紅茶を近代に導いたといえます。


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