水疱ダニ(くま訳)です。被害葉に水ぶくれ状の病徴を生じることと直訳からです。学術的には「ブリスターミト」や「サビダニ類(Eriophyidae)」の名称が用いられます。
ハダニについてはハダニを参照してください。

概要
ブリスターミト(Blister Mite)は、ダニ目・サビダニ亜目(Eriophyidae科)に属する微小な植物寄生性ダニの総称で、寄生した植物に水ぶくれ状(blister)の病徴を形成することからこの名で呼ばれます。茶樹における例としては、Eriophyes camelliae(ツバキサビダニ)などが知られており、新芽や若葉に被害を与えます。
生態と分布
非常に小型(体長200~230μ程度)で、葉裏や芽鱗部に潜みながら吸汁加害を行います。熱帯〜温帯地域に分布し、日本ではツバキ属やチャ属を含む常緑広葉樹に寄生する種が確認されています。スリランカなどでは深刻な虫害を起こします。高温多湿期に個体数が急増する傾向がありますが、発生に気付きにくく、症状で初めて確認されることが多いです。
被害と影響
寄生された葉は小さな水ぶくれ状に膨らみ、やがて表面が変色・黄化します。被害が進行すると、葉が変形・硬化し、新芽の展開が抑制されます。茶葉としての品質が低下するほか、外観的な障害が目立つことから商品価値が大きく損なわれます。
防除
肉眼では確認が困難なので、葉面や芽に水泡様の異常が現れた段階での早期対応が求められます。有効な薬剤の選定と、発生部位への的確な散布が鍵となります。また、被害葉の剪定除去や発生履歴に基づいた予防的管理が有効です。
類似種との識別
他のハダニ類とは異なって、葉の水泡状変形や黄化などの特徴的な症状から推定可能です。ただし、病害や栄養障害との誤認もあるため、ルーペ観察や標本同定が望ましいです。