アッサム種

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🔬 アッサム種とは?

アッサム種(Assamica)とは、茶の樹の品種(変種)のひとつで、学名では

Camellia sinensis var. assamica
(カメリア・シネンシス・アッサミカ変種)

と呼ばれます。

アッサム州のジャングル地帯で19世紀初頭に自生していたチャノキが発見され、これが現在の商業的アッサムティー生産の基礎となりました。


🌿 特徴と他品種との違い

中国種とアッサム種
中国種とアッサム種

アッサム種と中国種比較表

特徴アッサム種(Assamica)中国種(Sinensis)
葉の大きさ大きい(10~20cm)小さい(5~10cm)
喬木型、10mを超えるものもある灌木型、地上ですぐ枝分かれ、2~3m
葉の形丸くて厚みがあり柔らかい細長くやや硬め
未開葉淡緑が多い赤色を帯びることがある
タンニン量多いアッサム種より少ない
酸化酵素の活性非常に強く、発酵しやすいアッサム種より弱い
カテキン多い少ない
アミノ酸少ない多い
気候適応高温多湿に強い寒冷地にも強い
生育速度早い・通年生育遅め・休眠あり
香り・味香り高く・味濃厚デリケートな香味
水色(すいしょく)濃い赤褐色明るいオレンジや黄
代表産地アッサム、スリランカ低地など中国、日本、台湾
茶樹の経済的寿命30~40年50年(インド、スリランカでは80~100年を越えるものが多い)

※ アッサム種はその力強い味と水色の濃さから、ミルクティー向け紅茶の主力品種として世界的に使われています。


🌍 発見と栽培化の歴史

  • 1823年:スコットランド人・ロバート・ブルースがアッサム州で自生する茶樹を発見。
  • 1830年代:英国東インド会社が本格的な栽培研究を開始。
  • 1850年代以降:大規模プランテーションが形成され、紅茶輸出産業が拡大。

この発見は、中国からの茶葉輸入への依存を減らす英国の戦略の一環でもありました。


🧬 遺伝的にはどう違う?

アッサム種と中国種は同じ「チャノキ(Camellia sinensis)」に属しますが、
遺伝子的には非常に異なる特性を持ち、現在では以下のように分類されています:

  • var. sinensis:中国種(葉小、耐寒性)
  • var. assamica:アッサム種(葉大、耐湿性)
  • 一部ではその中間の「Cambodiensis」や交雑種も存在

現代の多くの商業栽培品種はこれらを交配・改良したクローン系統です。


🌱 栽培地域と用途

アッサム種は、以下の地域で特に広く栽培されています。

  • 🇮🇳 インド(アッサム州・西ベンガル)
  • 🇱🇰 スリランカ(低地産)
  • 🇻🇳 ベトナム北部
  • 🇲🇲 ミャンマーの一部
  • 🇹🇭 タイ北部(山岳地帯)

主にCTC製法による紅茶や、高発酵のオーソドックス紅茶に利用されます。


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