Certificate of Analysis (分析証明書/COA)
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概要
Certificate of Analysis(COA)は、製造者または第三者試験機関が発行するロット別の分析試験成績書のことです。製品名・ロット番号・試験項目・試験法・結果・判定・発行日(署名)を1通にまとめ、「このロットが規格に合致している」ことを示す証明書です。日本の現場では「分析試験成績書」「試験成績書」と呼ぶことが多く、英語の COA とほぼ同義で用いられます。
紅茶との関連
紅茶(茶葉)の輸出入では、残留農薬(MRL)、カフェイン、水分、重金属、必要に応じて微生物等の項目について、COAで適合を示すよう取引先(特にEU・日本の小売/輸入商社)から求められます。COAは通関の公的証明そのものではありませんが、品質保証書類(仕様書・SDS・原産地証明 等)と並ぶ必須書類として扱われることが多いです。BRCGSやHACCPの監査においても、ロット追跡性(トレーサビリティ)と併せて提示を求められるのが一般的です。
COAの典型的な構成(茶の例)
- 製品情報:品名/原料(例:Black tea)/ロット番号/製造日・有効期限
- 試験情報:採取日・サンプル同一性(誰がどこで採取/封緘)/試験日
- 試験項目と結果:残留農薬(MRL適合)、カフェイン、水分、水分活性、可溶分、灰分、重金属(Pb/Cd/Hg 等)、微生物(一般生菌数・大腸菌群 陰性 など)※必要に応じて
- 試験法:参照規格(ISO/AOAC/JIS 等)、装置・検出限界
- 判定:合否(Pass/Conform)/規格値との比較
- 署名:発行者名・役職・日付、試験所の認定(例:ISO/IEC 17025)や印影、電子署名
実務のポイント
- ロットごとに発行:出荷に含まれる複数ロットはロット別COAが必要です(混載の取り違え防止)。
- 試験時期:船積み前後の新しいデータが望ましいです。古いCOAは監査で差し戻されがちです。
- 試験法の明示:結果数値だけでなく、標準法の参照(ISO/AOAC/JIS 等)を記載する必要があります。
- 第三者試験の価値:自社発行でも可だが、第三者試験機関のCOAは取引先の信頼が高いです。
- 言語と書式:英語版(または相手国言語)/改ざん防止のPDF+電子署名が好まれます。
- 整合性:COAの製品名・ロット・スペックが、インボイス/パッキングリスト/仕様書と一致しているかの確認は必須です。
似て非なる書類(混同注意)
- Certificate of Origin(原産地証明):関税優遇や原産地の公的証明。COAとは目的が違う。
- Phytosanitary Certificate(植物検疫証明)/(動物由来なら)衛生証明:検疫目的の公的証明。
- SDS(安全データシート):化学物質の安全情報。分析結果のロット保証ではない。
- Certificate of Authenticity:略称が同じCOAだが「真贋証明」。本項とは無関係。
🔗リンク
BRCGS(食品安全グローバル標準/食品安全・包装・保管配送の規格)
HACCP(食品安全の枠組み)
Codex Alimentarius(国際食品規範集/Codex本体)
Certificate of Origin(原産地証明)
植物検疫証明書(Phyto Certificate)
トレーサビリティ(ロット追跡)
紅茶の残留農薬(MRL)