クリッパー船(Clipper Ship)
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概要
クリッパー船 (Clipper Ship)とは、19世紀中葉に発達した高速帆船の総称で、細長い船体と大きな帆装により高速航行を実現した船型です。茶・香辛料・羊毛・金など迅速輸送を要する交易で用いられました。
関連規格/典拠
・海運史・造船史の専門資料/博物館解説(例:英・国立海事博物館のクリッパー解説)
・19世紀航海記録・船名録(米国/英国の造船台帳 ほか)
目的/機能
遠距離貿易における輸送時間の短縮と価格優位の確保。鮮度や相場が敏感な貨物で威力を発揮しました。
範囲/定義境界
「高速帆走を目的とした船型」の総称です。貨物の種類は限定されておらず、茶・羊毛・阿片・金鉱関連など複数用途を含みます。
類似/対比
蒸気船(steamer)は天候依存が小さく定時性で優位です。クリッパー船は瞬発的な高速で対抗しましたが、スエズ運河(1869)開通以降は蒸気に主役が移行します。
歴史的背景
1840年代に北米・英国で発達。1860年代に各交易で最盛期。スエズ運河開通と蒸気船の発達によって1870年代から急速に役割が縮小しました。紅茶分野では専用のティークリッパーが派生しました。
茶貿易における競争的航走
クリッパー船は各種高付加価値貨物を迅速輸送しましたが、茶季のティーレースはとりわけ注目を集めました。プレミアム制度が競争を制度化し、船の評判(次回の運賃レート)にも直結しました。代表的事例は1866年の福州—ロンドン競争と1872年の Cutty Sark vs Thermopylae。ただし運河開通後は蒸気船が優位となり、クリッパー船の役割は縮小しました。
🫖紅茶文脈での使い方(英語短文)
英文: In tea history, clipper ships set speed standards before steamers dominated.
和訳: 紅茶史においては、蒸気船が主流となる前、クリッパー船が速度の基準を築きました。
英文: Some clipper ships carried tea, but specialized tea clippers led the races.
和訳: 紅茶を運ぶクリッパー船もありましたが、競走を主導したのは専用のティークリッパーでした。
英文: After 1869, clipper ships lost advantage as steam routes through Suez expanded.
和訳: 1869年以降、スエズ経由の蒸気航路が拡大するにつれて、クリッパー船は優位性を失いました。