Codex CXS 12-1981(蜂蜜の規格)

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Codex CXS 12-1981(蜂蜜の規格)。旧称Codex STAN 12-1981

📘 概要

この規格は、天然のはちみつ(蜜蜂によって作られたもの)の品質および成分に関する国際基準を定めたものです。主に以下を対象としています:

  • 商業的に販売される非加工・精製済みの蜂蜜
  • 添加物・異物・発酵・加熱等の管理基準
  • 成分の最小・最大値(含水率、還元糖、酵素活性、電気伝導度など)

🫖目的

天然蜂蜜の国際取引において、品質・純度・表示に関する統一基準を設け、消費者保護と貿易の信頼性を確保することを目的としています。

📜起源・背景

蜂蜜の品質は、収穫方法、加熱処理、添加物の有無、糖分構成などによって大きく左右されます。1980年代、各国の蜂蜜表示や添加物混入を巡る問題が相次ぎ、特に加糖蜂蜜や「天然表示」の乱用による信頼性低下が国際的な懸念となっていました。これを受けてCodex委員会が規格を制定し、1981年にCodex STAN 12-1981として採択されたのです。

🍯 内容構成

1. 適用範囲と定義(Scope & Description)

  • この規格は、蜜蜂(主に Apis mellifera)によって作られた天然の単花蜜(mono-floral)および混合花蜜(multi-floral)に適用されます。
  • 蜂蜜の定義:花蜜を蜜蜂が酵素反応により変化させ、巣内に蓄積・濃縮し、熟成させた天然甘味物。

2. 主要品質指標(Essential Composition and Quality Factors)

  • 水分含量:最大 20%
  • 還元糖(果糖+ブドウ糖):最低 60g/100g
  • スクロース:最大 5g/100g(ただし種類により異なる)
  • 水不溶物:最大 0.1g/100g
  • 電気伝導度:0.8 mS/cm(蜂蜜の種類により上限あり)
  • 遊離酸度(Free Acidity):最大 50 meq/kg
  • HMF(ヒドロキシメチルフルフラール):最大 40 mg/kg

3. 加工・取扱い要件(Processing Requirements)

  • 過度の加熱・濃縮は禁止。
  • 異なる蜂蜜のブレンドは可能だが、その旨を表示。
  • フィルタリングはOKだが酵素添加や香料添加はNG。

4. 禁止事項(Prohibited Practices)

  • 酵素、異性化糖、デキストリン、人工甘味料、着色料、香料の添加
  • 加水・再加工などの「改変」は不可
  • 発酵している蜂蜜(自然発酵含む)の販売は不適格

5. 食品添加物(Food Additives)

  • 原則として添加物の使用は禁止(例外はなし)

6. 衛生要件(Hygiene)

  • Codex CXC 1-1969(食品衛生一般原則)に従うこと

7. 表示(Labelling)

  • 名称、原産地、植物源(可能な場合)、処理方法(例:加熱蜂蜜など)の表示が必要
  • 「蜂蜜」という名称を誤解を招く形で使うことは不可

🫖紅茶関連での注意点

  • 紅茶とのハニーブレンド、蜂蜜入り製品(飲料・スプレッド)を扱う場合、本規格に準拠した原料であるかの確認が、輸出入や表示適合性の保証に直結します。
  • 日本では「蜂蜜表示基準(農水省)」も併せて参照されるケースがあります。

📗運用上の意義

  • 国際蜂蜜取引における品質担保(輸出入に際する検疫・品質証明)
  • 消費者向けの「純粋蜂蜜」表示の法的根拠
  • 製菓・飲料分野における使用蜂蜜の選定・証明基準

🪶備考

Codex CXS 12-1981は蜂蜜の成分規格として非常に詳細であり、後年のISO蜂蜜規格(例:ISO 1211)やEU規制とも整合が図られています。