FIC規則

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🏷️ FIC規則(EU食品情報提供規則:EC 1169/2011)

📘 概要

EU食品情報提供規則(FIC規則:Food Information to Consumers Regulation)とは、EU域内で流通する全ての食品に対して義務付けられる食品表示の統一ルールを定めた制度です。
正式には Regulation (EU) No 1169/2011 として2011年に採択され、以後の表示義務における枠組みを決定づけています。

📦 適用対象と表示義務(紅茶との関係)

項目概要紅茶への影響
名称(Article 17)販売名称の正確な表記「紅茶」「アールグレイ」「オーガニック紅茶」などに影響
原材料表示全原材料の重量順表示フレーバーティーなどで香料や混合物の表示義務が発生
アレルゲン表示(Annex II)特定アレルゲンの強調表示義務ミルクティー粉末やスパイスティーなどで影響あり
ネット量正味重量(例:50g)ティーバッグ・リーフの双方で明示
原産国表示(Article 26)一定条件下で義務複数産地混合紅茶では注意が必要
栄養成分表示(Annex XIII)通常は不要(非加工茶)ただし加工品(RTDティー等)では必要になる可能性あり
保存方法・賞味期限消費者への安全情報湿気・香り保持条件の表示義務発生

🧾 特記事項(表示の透明性と香料)

  • 香料の表示(Article 18)
    ・「flavouring」または「natural flavouring substances」などの記載義務
    ・Codex CXS 12-1981 Annex/EC 1334/2008と密接に関係
  • 強調表示と「ナチュラル」表記(Article 7)
    ・消費者誤認を避けるためのルール厳格化
    ・「natural」や「organic」などの表示に根拠規格が必要
  • ラベルの視認性(Article 13)
    ・フォントサイズ、背景とのコントラスト、消えにくさなども義務化

🌍 他制度との連携・関係性

関連規格・法令関係性
EC 1334/2008(香料規制)表示される「flavouring」の定義・許可範囲を定める
EU Organic Reg. 2018/848「オーガニック」表示に関する別規制との接続が必要
Codex CXS 1-1985(表示規範)
Codexとの整合を意識した制度設計
日本の食品表示基準類似性はあるが、表示順・アレルゲン強調方法が異なる

✍️ 注記

紅茶は比較的表示義務が緩やかと思われがちだが、フレーバー・スパイス・乳成分・アレルゲンなどが絡むと一気に表示範囲が広がります。

FIC規則の特徴は、「消費者保護のための統一透明表示」にあり、誇張・暗示表現も対象となる点が他制度より厳しいです。

📎 併読推奨

EC 1334/2008(香料規則):香料表示との接続

EU Organic Regulation(EU 2018/848 + 2021/1165):オーガニック表示に必要な条件

Codex CXS 1-1985(食品表示規範):Codexにおける食品表示の原則

日本の食品表示基準における香料の取扱い:日本制度との比較予定