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📘 概要
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)は、食品の安全確保のために危害要因を特定し、管理ポイントを設けて監視・記録する国際的な手法です。
かつては任意だったHACCPですが、現在では多くの国・地域で食品事業者に対して義務化されており、「紅茶」や「加工茶製品」も対象に含まれます。
🧪 HACCPの義務化と根拠法令
制度・規格 | 義務の位置づけ |
🇯🇵 日本:食品衛生法(改正法:2021年完全施行) | 原則すべての食品事業者にHACCP導入義務 |
🇪🇺 EC 852/2004(食品衛生指令) | Article 5 でHACCP導入を明記、すべての食品事業者に義務 |
🌐 Codex CXG 90-2017(GMP指針) | CodexベースのHACCP手法を国際標準として提示 |
🌐ISO 22000 | HACCPを中核とする食品安全マネジメントシステム |
🇺🇸 FDA(21 CFR Part 120 ほか) | 加工食品製造業者に対しHACCPを義務化 |
📦 紅茶産業における具体的適用
分野 | HACCPの適用例 |
製茶工場(CTC・OPなど) | 殺菌工程の温度・乾燥時間管理がCCP(重要管理点)になることが多い |
ティーバッグ加工 | 異物混入(針・金属)、クロスコンタミ(香料・アレルゲン)対策が焦点 |
フレーバーティー製造 | 香料添加の均一性、清潔ゾーニング、混入防止措置が重要 |
輸出・包装業者 | 最終梱包段階でのトレース、封緘チェック、表示の最終確認などが対象 |
📎 Codexや他制度との関係性まとめ
指針・規格 | HACCPとの関係 |
Codex CXG 80-2003 | HACCPを含むリスク分析三原則の枠組みを定義 |
Codex CXS 1-1985 | HACCP実施により「安全で正確な食品表示」が可能とされる |
EC 178/2002(EU食品法) | Article 17(食品事業者の責任)とHACCPは制度的に接続 |
Codex GMP(CXG 90) | HACCPの前段階としての前提条件プログラム(PRP)も明記 |
ISO 22000 | HACCPを中心に構築された国際的FSMS(食品安全マネジメント)標準 |
✍️ 注記
「HACCP」は単なる技術手法ではなく、制度としては「食品安全に対する倫理的・構造的義務」でもあります。
紅茶のような一見 “リスクが少なそうな食品” でも、香料・アレルゲン・包装異物・微生物リスクなどの要因があり、HACCP義務は避けられません。
また、Codex→ISO→各国法というラインで制度が連携しており、表示、香料、オーガニックとも密接に関係しています。