輸入許可証(Import Permit)

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概要

Import Permit(輸入許可証)は、特定の品目を輸入する前に仕向国の所管当局が発行する事前の許可文書のことです。

対象は国・品目によって異なり、公衆衛生・動植物防疫・環境保護などの観点から、輸入者(または貨物)が所定の基準・条件に適合していることを確認する目的で用いられます。

名称は Import Permit / Import License / Import Authorization などと表記ゆれがあります。

税関申告(Customs Declaration)と別物で、通関時には商業送り状(CI)・梱包明細(PL)・B/L等に加え、輸入許可証の写しを提示・添付します。許可は1回の船積みごと(Shipment-specific)のこともあれば、一定期間の包括許可(Annual/Blanket)のこともあります。対象HSコードや数量上限、到着港、許可の有効期限が許可文面で特定されるのが一般的です。


紅茶との関連

  • プレーンな茶葉(HS 0902)は、多くの国で輸入許可対象外のことが多いですが、仕向国の制度・運用で異なります。
  • ハーブ/ボタニカル(茶外原料)や、香味付(flavoured)、特殊添加物を含む製品などは、衛生・検疫・食品規制の観点から輸入許可や事前登録が求められる場合があります。
  • 「有機」製品は、輸入許可とは別枠のオーガニック輸入証明(COI 等)や登録制度がある国が多いです(許可証とは別手続)。
  • 実務では、必要書類(Sanitary/Health、Phytosanitary、COA など)を輸入許可の条件として指定されることがあります。

典型的な記載項目

  • 輸入者名・登録番号、仕向港、対象品目(HSコード)、数量・重量上限
  • 衛生・検疫条件(必要添付:Sanitary / Phytosanitary / COA 等)
  • 有効期限、1回限り/包括(Blanket)の別、許可番号、発行機関の署名・公印

例(イメージ)

  • 米国:食品の通関ではFDA「事前通知(Prior Notice)」が必須です(許可証とは別)。一部ハーブ原料はUSDA/APHISの植物輸入許可が必要になる場合があります。
  • 中国:品目により検疫当局(GACC 等)の事前許可・登録や追加書類が求められる場合があります。
    (※上記はいずれも制度・運用が更新され得るため、仕向国の当局・輸入者・通関業者と事前確認が必須。)

実務のポイント

  • 要否の確定を船積み前に:PO/PIの段階で輸入者・通関業者に要否・様式・有効期限を確認すべきです。
  • 許可条件の読み込み:対象HS・数量・港・期限を厳守。CI/PL/B/Lと許可内容の整合性をチェックしなければなりません。
  • ロット整合:許可証に紐づくロット・数量がCOAや検疫証明と一致しているかの確認が必須です。
  • 包括許可の運用:年間包括なら出荷ごとの申告書に許可番号を記載し、残量管理を徹底することが必要です。
  • 名称の揺れに注意:Import Permit / License / Authorization は国により同義で使われることがあります。文面の要件で判断しなければなりません。

似て非なる書類(混同注意)

  • Sanitary(衛生)/ Health Certificate:衛生上の適合を証明(許可証の条件として求められることあり)。
  • Phytosanitary Certificate(植物検疫証明):検疫目的の公的証明。輸入許可とは制度が別。
  • FDA Prior Notice(米国):事前届出であって許可証ではない。
  • COA(分析証明書):数値試験の結果。許可そのものではない。

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