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目的
食品の製造・流通・サービスに関わるすべての組織が、安全な食品を継続的に提供するための管理システムを構築・運用するための国際標準。
起源・背景
発端は1990年代のBSE(牛海綿状脳症)やダイオキシン汚染など、グローバルな食品安全問題への国際対応の必要性があったからです。これらの事件は消費者の信頼を大きく揺るがし、各国で制度の整備や見直しが求められる中、国際的に通用する食品安全管理基準の必要性が浮上しました。
2005年に国際標準化機構(ISO)により発行されました。HACCP(危害分析重要管理点)の原則に基づきながらも、従来のHACCPが法令中心の枠組みにとどまっていた点を補い、「企業主体で構築できる食品安全マネジメントシステム(FSMS)」として設計されました。
この規格は、食品業界における国際的な認証需要の高まりと、各国の法令・ガイドラインの相違による混乱を背景に、「安全性の共通言語」を提供する目的で策定されました。
主な内容構成
- FSMS(食品安全マネジメントシステム)の構築原則
- HACCPの7原則の統合
- PRP(前提条件プログラム):衛生管理、施設管理、教育訓練等
- リスク分析に基づく危害要因の特定と制御措置の文書化
- 経営陣の関与、内部監査、継続的改善の仕組み
運用上の意義
- 生産・加工・輸送・流通・販売など、すべての段階での食品安全リスクを一貫して管理できる
- 各国法令やGFSI承認スキーム(例:FSSC 22000)との整合性を保ちつつ、国際輸出入の信頼性を確保
- 大規模企業のみならず、中小食品事業者でも導入可能な柔軟性を備えている
備考
紅茶業界においても、ISO 22000は製茶工場や包装工程の安全管理体制の基盤として活用されており、有機JASやFSSC 22000との併用でより高い信頼性を生んでいます。特に以下のような場面で重要とされます。
- 大手ブランドや小売店が、信頼性の高いサプライチェーンを構築するため
- 輸出対応する製茶工場が、食品安全の国際基準を満たすため
- ティーバッグ加工業者やパッキング業者が、異物混入や衛生トラブルを防止するため
