紅茶におけるJAS認証制度

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📘 概要

「JAS認証制度」とは、農林水産省が定める農林物資の品質および表示基準に基づく任意の公的認証制度です。
紅茶においては、主に次の2つの形でJAS認証が関わっています。

✅ 有機JAS認証(最も実用性が高く、広く使われている)

△ 特色JAS認証(旧・工程管理JAS:将来的な活用可能性あり)

🟢 有機JAS認証と紅茶

✅ 概要

紅茶に対するJAS認証の中で、最も広く適用されているのが「有機JAS」です。

これは農薬や化学肥料の使用を制限し、有機的に栽培・製造された紅茶に対して認証が与えられます。

📋 主な要件

  • 3年以上農薬・化学肥料を使っていない茶園であること
  • 製造工程においても禁止添加物の不使用
  • 年1回以上の登録認証機関による検査
  • 有機JASロゴの表示義務

🌱 対象商品

  • 国産有機紅茶(静岡・三重・鹿児島など)
  • 再認証を経た海外有機紅茶(ネパール、スリランカ、インドなど)

🌿 特色JAS認証の可能性

🌀 概要

「特色JAS」は、2018年の制度改正により導入された新しい認証カテゴリで、旧「工程管理JAS」などを統合し、製品の特徴や製法の独自性を公的に認証できる制度です。

🔍 紅茶で対象になりうる例

  • 特定農園限定の単一茶園(Single Estate)紅茶
  • 職人技による伝統的加工(炭火乾燥、手揉みなど)
  • 無電力・手作業製法によるクラフト紅茶

⚠️ 実情

  • 2025年現在、紅茶での取得事例はごくわずか
  • 認証に必要な文書化や工程管理のハードルが高い

🚫 品位等JASとの非対応

「品位等JAS」は品質を数値・外観などで評価して標準化=平準化するための制度ですが、紅茶は官能評価(香り・渋み・後味など)に依存しており、数値化が困難なため、品位等JASによる等級制度は紅茶には現実的に適用されていません。

📎 併読推奨

有機JAS認証

JAS法全体

EU Organic Regulation

Codex CXS 1-1985(一般的な包装食品の表示規範)