JECFA評価(FAO/WHO合同専門委員会によるリスク評価)

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📘 概要

JECFA評価とは、FAOとWHOが共同で運営する「食品添加物に関する専門委員会(JECFA)」によって行われる、食品添加物・汚染物質・残留農薬・香料などに対する科学的な安全性評価プロセスを指します。

この評価は、Codex規格の策定や各国の食品安全政策の根拠となります。

📌 評価対象の分類

評価対象内容
食品添加物保存料・着色料・甘味料など
香料天然香料やその構成成分
農薬作物残留農薬(MRL設定の基礎)
汚染物質カビ毒(アフラトキシン等)、重金属など

📌 主な評価指標

指標意味
ADI(Acceptable Daily Intake)毎日摂取しても健康に影響がないとされる量(mg/kg体重/日)
NOAEL(No Observed Adverse Effect Level)有害な影響が観察されない最大量
MTDI(Maximum Tolerable Daily Intake)耐容一日摂取量(汚染物質等で使用)
ARfD(Acute Reference Dose)単回摂取の安全上限量(農薬など)

📌 Codexや各国制度との関係

  • JECFAの評価結果は、Codex Alimentarius Commission(CAC)に提出され、Codex CXS 192(残留基準)などの国際規格策定の根拠となります。
  • 日本の食品安全委員会を含む各国機関も、JECFAの評価結果を参照しつつ自国の基準を定めています。
  • EU、アメリカ、カナダなどもJECFA評価を重視していますが、独自評価を併用することもあります。

📌 紅茶との関係

  • 紅茶製品に含まれる香料(例:ベルガモット抽出物)や、残留農薬、カビ毒(アフラトキシン)などの評価は、JECFAの報告を基にして国際基準が設けられています。
  • 特に輸出用紅茶(日本・EUなど)では、JECFA評価に基づいたMRL(最大残留基準)が参照され、輸入検査や製品設計の基礎となります。

📍 備考

JECFAの評価は世界中の食品規制の土台であり、民間の認証制度(FSSC 22000、ISO 22000など)におけるリスク評価の基礎文書としても参照されます。

製品パッケージなどに表示されることはないものの、食品の信頼性や貿易の透明性を裏で支える「見えない基準」といえます。

📚 参考リンク