Letter of Credit (L/C)
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概要
Letter of Credit(L/C, 信用状)は、輸入者(申請人/Applicant)の依頼により発行銀行(Issuing bank)が、輸出者(受益者/Beneficiary)に対し「信用状に定めた書類が期限内・条件どおり提示されたら支払う」ことを約束する文書のことです。国際商取引で広く使われる決済手段で、原則として UCP 600(ICCの統一規則)に従います。L/Cは商品実物ではなく「書類」に対して支払う仕組みです(Banks deal with documents, not goods)。
実務では
実務では、発行銀行から相手国の通知銀行(Advising bank)へ信用状が送られ、信用リスクをさらに下げたい場合は確認銀行(Confirming bank)が支払確約を上乗せします。受益者は出荷後、CI(商業送り状)/PL(梱包明細)/B/L(船荷証券)/保険証券(CIF/CIP時)/原産地証明/植物検疫証明/必要ならCOAなど、L/C本文で指定された「書類一式」を期限内に提示し、一覧払い(at sight)または期限付き(usance)で支払いを受けます。
紅茶との関連
紅茶の大口・高額ロット(例:FTGFOP1 等のプレミアム、国境を跨ぐ大量ブレンド原料)や、新規取引・カントリーリスク高めのケースで用いられることが多いです。ティーバッグ完成品のOEMでも、初回〜安定化までL/Cという運用がしばしばあります。書類は等級・ロット(DarjeelingのDJ- など)・数量単位・原産国が、L/Cの記載と一字一句一致していることが必要です。
主な当事者と書類
- Applicant(輸入者)/Beneficiary(輸出者)
 - Issuing bank(発行銀行)/Advising bank(通知銀行)/Confirming bank(確認銀行)
 - 提示書類(例):Commercial Invoice/Packing List/B/L or AWB/Insurance Certificate(CIF/CIP)/Certificate of Origin/Phytosanitary/COA(求められる場合)
 
代表的な種類
- 取消不能信用状(Irrevocable):現行では原則的にこれです(UCP 600)。
 - 確認付(Confirmed):確認銀行が国・銀行リスクをカバーするものです。
 - 一覧払い(Sight)/期限付き(Usance/Deferred):支払時期の違いです。
 - 譲渡可能(Transferable)/分割船積の可否などの条件は本文に明記されます。
 
実務のポイント(紅茶でミスを防ぐ)
- 「信用状は書類の世界」:品名・等級・ロット・数量単位・原産国の表記をPO→PI→CI→PL→B/Lまで完全一致で通すのが必須です。
 - 期日管理:最終船積日/書類提示期限/有効期限をカレンダー化しなければいけません。1日でも越えると不一致となります(Discrepancy)。
 - 部分船積・積替の可否:L/C本文の Partial shipment / Transshipment の条項を必ずチェックすることが必要です。
 - インコタームズは地名つき:CIF/CIPなら保険証券の条件(保険付保割合・貨物記載)まで本文に合わせなければいけません。
 - 不一致コスト:軽微でもディスクレ費用+支払遅延のリスクが発生します。疑問は事前更改(Amendment)で潰しておくことが大切です。
 - 確認付の要否:発行銀行/発行国の信用や政治リスクに不安があれば確認付を検討すべきです。
 - Usanceの資金繰り:期限付きはネゴ(買取)/割引の条件を取引銀行と前もって合意しておくべきです。
 
似て非なるもの
- D/P・D/A(荷為替手形/コレクション):銀行は取次のみで支払保証がありません。
 - SBLC(Standby L/C):保証状に近い待機型です。通常の物品決済L/Cとは目的が異なります。
 - Bank Guarantee:銀行保証のことです。UCPではなく別のルール適用が一般的です。
 
🔗リンク
CIF
Certificate of Analysis (分析証明書/COA)
原産地証明書(Certificate of Origin)
植物検疫証明書(Phyto Certificate)