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📝 概要
物資統制令は、大東亜戦争後の日本における戦時物資・生活物資の統制管理制度の一環として制定された政令で、紅茶を含むさまざまな嗜好品・食料品の生産・流通・消費を厳しく制限しました。
1945年の敗戦直後から、物資の極端な不足と配給制度の整備に対応するため、政府が市場を強力に統制する法的基盤となったのがこの制度です。
📦 制度の仕組み
物資統制令により、政府は以下のような措置を講じることができました。
- 食料・飲料・生活用品の製造・販売・輸送の制限・許可制
- 指定物資の価格統制
- 買占め・売惜しみの禁止
- 配給制度の運用根拠としての法的裏付け
これにより、紅茶も含めた嗜好品は「贅沢品」として分類され、自由な流通は原則として禁じられ、許可がなければ製造・販売できない状態が続きました。
🍵 紅茶への影響
紅茶はこの時期、
- 主に進駐軍の物資放出品(PX物資)として流通
- 一般国民への配給対象外
- 闇市や帰還兵・外交官経由での持ち込みが主な入手手段
といった形でしか入手できず、事実上「一般流通の途絶えた幻の飲料」となっていました。
📉 紅茶文化の停滞と制度的背景
物資統制令のもとでは、紅茶の喫茶文化は完全に停滞し、「紅茶を日常的に楽しむ」という概念そのものが生活文化から消えていく結果を招きました。多くの人々にとって、紅茶は敗戦以前の記憶か、進駐軍の物語の中にしか存在しない“憧れの品”となっていったのです。
📜 法令としての終焉と影響の継続
物資統制令自体は1952年のサンフランシスコ講和条約発効と日本の主権回復後も、段階的に緩和されつつ1950年代半ばまで存続しました。この間、紅茶の製造・販売に対する制限も徐々に緩和されましたが、長期にわたる統制の影響で、紅茶文化の復活にはさらに時間を要することとなります。
🔗 関連項目