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📘 正式名称と略語
MRL(Maximum Residue Limit)
=「最大残留基準値」
食品中に残留していてよい農薬などの化学物質の最大許容濃度を示します。
📌 概要
MRLは、茶葉や農産物に残留する農薬・殺菌剤・防カビ剤などの上限値を定めた基準で、ヒトの健康に対する安全性を確保する目的で導入されています。
紅茶のように加工前に乾燥された農産物では、乾物換算(dry weight basis)でMRLが設定される場合が多く、輸出入時の検査対象となる重要な安全指標です。
📌 紅茶との関係
- 紅茶は製造過程で洗浄されないため、農薬が茶葉に残るリスクが高い
- 輸出国側では、MRL基準に適合するための農薬管理・収穫制限が求められる
- 輸入国側では、サンプリング検査・検疫(SPS措置)として適用され、不適合品は廃棄・返送となる場合もある
- 特にEU・日本・韓国・アメリカは厳格なMRL基準を持つ
基準体系 | 管轄機関 | 備考 |
Codex MRL(CXL値) | Codex Alimentarius(FAO/WHO) | 国際貿易上の基準線、WTO/SPS協定の整合指針 |
EU MRL | EU規則(EC No 396/2005 など) | EU独自の厳格な数値が設定されることが多い |
日本のMRL | 食品衛生法(厚労省) | 一律基準:0.01 ppm 以下の原則 |
アメリカ(EPA MRL) | 米国環境保護庁(EPA) | 耐性や環境影響を考慮した独自設定 |
🧪 検査と分析手法
- ガスクロマトグラフィー(GC-MS)
- 液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)
- 多成分一斉分析法(multi-residue screening)
紅茶の輸出業者は、これら分析に基づく証明書(COA)を提出する必要があります。
📍 備考
WTOのSPS協定では、各国のMRLは科学的根拠に基づき正当化されるべきとされ、Codex MRLが国際的整合の拠り所となります。
とくに、EUのMRLはCodexより厳しい傾向があり、途上国輸出者には技術的障壁となることがあります。
📚 参考リンク