RCEP・GSP枠の違いと活用法

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定義・概要

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership:地域的包括的経済連携協定) と GSP(Generalized System of Preferences:一般特恵関税制度) は、輸入時に関税の優遇を受けられる枠組みです。ただし両者は性質が異なり、同じ商品に同時適用することはできません。輸入者はどちらが有利かを判断し、選択して活用します。


RCEP・GSP枠の比較表

比較項目GSP(Form A)RCEP(RCEP Certificate)
対象国日本が指定する途上国(例:スリランカ、バングラデシュ等)RCEP加盟15か国(中国・韓国・ASEAN・豪州・NZ・日本)
適用条件一方的に先進国が与える特恵協定に基づく相互合意
書類原産地証明書(Form A)RCEP指定様式の証明書
原産地規則(付加価値基準、原産地証明書)
証明機関各国政府・商工会議所各国の商工会議所・認定機関
関税の扱い一部または全額免除減免(完全撤廃もあり)
有効性国によって縮小・停止もある長期的かつ安定的
実務上の利用スリランカ紅茶などでよく利用中国やASEAN経由の加工も含め柔軟
紅茶への適用例ネパール紅茶→日本で免税ベトナム包装紅茶→日本で減税

実務での注意点

重複適用は不可

同じ商品にGSPとRCEPの両方を適用することはできません。

選択制

どちらが有利かを輸入者が判断して選択します。

書類の正確性が重要

書式の不備があると、特恵が認められないため、フォワーダーや商工会議所との連携が不可欠です。


紅茶との関わり

  • スリランカ紅茶:従来は GSP を利用するケースが多い。
  • ASEANブレンドや加工紅茶:RCEP適用の余地あり。
  • 有利選択:輸入者が輸入価格や条件を見て RCEPかGSPかを選択。
  • 実務感覚:同じ「紅茶」でも包装形態や加工地で枠が変わるため、商社・フォワーダーと事前確認が必須。

🫖紅茶文脈での使い方

英文: Under RCEP or GSP, tea importers can benefit from preferential tariff rates, but only one scheme can be applied.

和訳: RCEPまたはGSPの下では、紅茶輸入者は特恵関税を利用できますが、同一商品に適用できるのは一方のみです。

英文: Accurate certificates of origin are essential to enjoy tariff preferences.

和訳: 特恵関税を受けるには、原産地証明書の正確さが不可欠です。