衛生証明書(Sanitary Certificate)
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概要
Sanitary Certificate(衛生証明書)は、輸出国の公的機関(または同等の権限を持つ認定機関)が発行する、当該ロットの製品が衛生上適切で、人の健康に有害でないことを証明する文書のことです。多くは「本品は当国の衛生規則に適合し、ヒトの摂取に適する(fit for human consumption)」といった様式文で記載され、ロット番号や製造日/消費期限等と紐づきます。
実務では“ Health Certificate”や“Hygiene Certificate”と表記されることもあり、動物性食品では獣医当局が発行する“ Veterinary Health Certificate”が用いられます。
紅茶を含む植物由来の食品では、仕向国の制度次第で衛生証明書の提出を求められる場合と求められない場合があります。提出を求められない国でも、輸入者の社内規程や小売の調達基準により任意提出を求められることがあります。衛生証明書は「宣誓証明」ですから、数値データの裏付けはCOA(分析証明書)を併用するのが通例です。
発行主体・提出先のイメージ
- 発行主体:保健当局/衛生当局/(品目によって)獣医当局、またはそれらが権限付与した検査機関です。
 - 提出先:仕向国の税関・検疫当局、あるいは輸入者(小売・商社)です。
 - 電子化・認証:国や品目により電子発給(e-Certificate)、在外公館の領事認証やアポスティーユを求められることがあります。
 
茶(紅茶)での典型
- 用途:EU・中東・アジア等で、食品安全上の確認書として要求されることがあります。
 - 併用書類:COA(残留農薬:MRL、カフェイン、水分、重金属、微生物 など)、植物検疫証明(Phytosanitary)、原産地証明(CoO)。
 - 注意:Phytosanitary Certificate(植物検疫証明)は植物検疫制度に基づく「検疫のための証明」で、衛生証明とは別物です(両方必要な国もあります)。
 
典型的な記載項目(例)
- 輸出者・輸入者、品名(例:Black Tea)、ロット番号、数量、包装形態
 - 製造日/消費(賞味)期限、原産国、輸送・保管条件
 - 適合声明(当局規則や衛生基準への適合、食用の適否)
 - 参照書類:COA番号、必要に応じて製造所の登録番号や認証(BRCGS 等)
 - 発行機関名・署名・公印、発行日/有効期限(設定される場合)
 
実務のポイント
- 「必須か任意か」は仕向国で異なります。:輸出前に輸入者/通関業者と要否・様式を確定しておく必要があります。
 - COAとセットで:衛生証明は宣誓文言中心。数値はCOAで裏づけます。
 - ロット整合:CI/PL/B/L、COAとロット・数量・品名表記を一致させなければなりません。
 - 発行リードタイム:当局発行は日数を要することがあるため、船積み計画に織り込む必要があります。
 - 表記ゆれ:Health / Sanitary / Hygiene の呼称差はあるが、本文の要件を満たすかが本質です。
 
似て非なる書類(混同注意)
- Phytosanitary Certificate(植物検疫証明):植物検疫のための公的証明です(害虫・病害の観点)。
 - COA(分析証明書):試験成績(数値)の証明。衛生証明の根拠資料として添付されることが多いです。
 - Certificate of Free Sale / Health Registration:当該国での販売許可・登録関連です。目的が異なります。
 
🔗リンク
植物検疫証明書(Phyto Certificate)
Certificate of Analysis (分析証明書/COA)