TARIC(EU統合関税表)
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概要
TARIC(EU統合関税表)は、EU が運用する統合関税コード・データベースです。正式名称はTarif Intégré de la Communautéです。
基礎となる HS(6桁)→ CN(EU 8桁)→ TARIC(10桁+追加コード) の階層に、関税率・関税割当・停止・反ダンピング・輸入許可・証明書要件などの適用措置(measures)を紐づけ、「どの品目を、どの原産地から、いつ輸入する時に何が必要か」を一元的に示しています。実務では申告コードや必要書類の「正解表」として参照されます。
TARIC はEU 共通のルールを日次更新で反映し、原産地・通貨・日付を指定して検索するのが基本です。結果画面には、基本税率/特恵税率(EPA・GSP 等)、必要な原産地証明の方式、追加コード(例:アンチダンピングの対象外コード)、必要証明(例:植物検疫、衛生証明、輸入許可 等)が並びます。VAT(付加価値税)などの内国税は国別ですが、関税や貿易措置はEU域内で共通に適用されます。
HSとCNとTARICの違い
- HS:世界税関機構の国際分類を指します(6桁)。
- CN:EUの関税表のことです(HSを拡張した8桁)。
- TARIC:CNをさらに10桁+追加コードで細分・措置連携した運用層です。申告や要件判断はTARICを基準に行います。
紅茶(Tea, HS 0902)での使い方(ミニ手順)
- 品目特定:0902(Tea, whether or not flavoured)から、茶種(Black/Green 等)・形状/包装に合う CN 8桁を選ぶ。
- 原産地設定:仕向国を EU、原産国(例:ネパール)を指定。基本税率 or 特恵税率(GSP/EBA等)の有無と証明方法(REX の原産地自己申告など)を確認。
- 適用措置の確認:関税割当・停止・反ダンピングの有無、必要書類(例:Phytosanitary/場合によりSanitary/Health、輸入許可(Import Permit))を確認。
- 申告要素の整理:TARIC 10桁と追加コード、必要書類コードを控え、CI/PL/B/L/原産地証明と整合させる。
ポイント(運用のコツ)
- 日付に敏感:税率・措置は適用日で変わるため、通関予定日で検索。
- 「必要書類」は文言だけでなく、証明の様式(例:原産地証明の種類、自己申告の文言・閾値)まで確認。
- 国別追加要件:TARICは EU 共通の枠ですが、内国税や国別の衛生手続は別途あるため、現地通関業者の確認もセットで。
- フレーバー紅茶:EUでは “whether or not flavoured” を 0902 内で扱います。なのでサブヘディングの読み替えに注意。
- ロット/表示:紅茶は ロット(Darjeelingの DJ- など)や表示内容と関税分類の整合が重要(香味付・含有物で分類が動かないかを確認)。
用途例(紅茶輸出)
ネパール産紅茶 → フランス
- 0902 から該当 CN を選択
- 原産地「NP」を指定し 特恵適用可否と証明方式を確認
- Phytosanitary の要否、輸入許可の必要性、追加コードの有無をチェック
- CI・PL・原産地証明と記載整合を取って申告。
という手順になります。