紅茶局(Tea Board)
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概要
紅茶局(Tea Board)とは、紅茶生産国の政府機関で、その国の紅茶の品質・取引・輸出を統括する組織です。英語では Tea Board と呼ばれ、日本語では「紅茶局」「紅茶委員会」とも訳されます。主な役割は以下の通りです。
- 紅茶の品質維持・向上
- 輸出前検査と認証
- 茶業の研究・技術開発
- 生産者・工場・オークション参加者の登録・規制
- 国内外での紅茶プロモーション
スリランカ紅茶局(Sri Lanka Tea Board)
- スリランカでは、すべての茶葉がオークションにかけられる前に Tea Board のテイスティングを受けます。
- 輸出前にも再度品質検査が行われ、基準を満たした紅茶のみが輸出を許可されます。
- 特に、ライオンロゴ(The Lion Logo)の使用を認めるかどうかは Tea Board の権限です。
- その他にも、残留農薬や化学的分析、製造業者やオークション参加者の登録、品質向上のための研究、海外でのセイロンティーのブランド・プロモーションなどを担っています。
インド紅茶局(Tea Board of India)
- インドでも、Tea Board of India が茶の栽培・加工・国内取引・輸出を統括します。
- 地理的表示(GI)の保護や、品質保証、紅茶の普及・宣伝などを行っています。
- ダージリンティーの GI 認証マーク(Darjeeling Logoなど)を管理しているのもこの組織です。
歴史的背景
- 植民地時代の茶業は、民間企業やプランテーション会社が主導していました。
- 独立後、紅茶が国家的な輸出産業であることから、政府主導で品質管理とブランド保護のための公的機関が整備されました。
- スリランカでは 1976 年に Ceylon Tea Board が設立され、現在に至ります。
- インドでも 1953 年に設立された Tea Board of India が活動を続けています。
本辞典での整理
- 紅茶局(Tea Board)は、輸出国における 品質保証・輸出管理・ブランド保護の中枢機関です。
- その象徴的な役割が、ライオンロゴ(スリランカ)や ダージリンロゴ(インド)といった認証マークの管理です。
補足
「Tea Board」は紅茶生産国の政府機関を指します。一方で、かつて英国には Tea Council(紅茶協議会)があり、現在は UK Tea & Infusions Association がその役割を担っています。これは生産国の紅茶局とは異なり、消費国側の業界団体です。