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FAUCHON
FAUCHON(フォション)は、フランスのパリに本社を置く食料品店のブランドです。食品販売のほか、レストラン、ホテルの事業を展開しています。
FAUCHONと紅茶の簡単な歴史
ワインとスピリッツを取り扱っていたAuguste Fauchon (オーギュスト・フォション)が1886年、30歳のときにパリ8区のマドレーヌ広場に高級食料品店を開店しました。開店当時から中国からお茶の輸入販売を開始していました。

1898年にはパリに「Grand Salon de Thé (グラン・サロン・ド・テ)」を開き、紅茶とお菓子を楽しむティースタイルを広く知らしめました。
第2次世界大戦中は規制と配給によって事業は困難を極めました。Augusteは1945年に亡くなり、彼の子供たちは1952年に事業を売却しました。
1960年代にフルーツや花の香りの紅茶(いわゆるフレーバーティー)を開発し、人気を博します。これが今も続いているFAUCHONのフレーバーティーの始まりです。
その後FAUCHONはオーナーを変えながらその歩みを進めます。1968年、過激派がFAUCHONを襲撃し、貧しい人々にフォアグラを配るという襲撃事件が起きたり、巨額の赤字が生まれたりしました。そして1998年から2004年にかけては収益が急増しましたが、その後2003年5月の重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスの流行等による観光市場の崩壊の影響を受けることになります。
その後営業利益を徐々に上げて行きましたが、2015年には同時テロ、2018年の黄色いベスト運動、2019~2020年の大規模な公共交通機関などのストライキ、そして新型コロナウイルスのパンデミックによる観光業の事実上の消滅などが大きな打撃を与え、FAUCHONグループの2社が経営破綻をするなどしました。
こうした多くのオーナーチェンジや荒波の中でもFAUCHONの紅茶は世界中に供給され続け、現在に至っています。
日本とFAUCHON
日本では1972年、高島屋と提携してフォションの海外第一号店となる日本橋高島屋店をオープンしました。以来、高島屋グループを中心にFAUCHONの店舗が展開されています。2010年にはエスビー食品と提携して日本向けの輸出などを始めます。また、2021年3月16日、京都にFAUCHONグループ2 つ目の5つ星ブティック ホテル「フォションホテル京都」をオープンしています。
FAUCHONの紅茶には、フレーバーティーの開発当初から人気のアップルティーを始め、夏みかん、さくらなど、日本人に馴染みのあるものを使ったフレーバーティーもあります。
FAUCHONの紅茶
シリーズ
FAUCHONの紅茶は大きく4つのシリーズに分かれています。
ストレートティーシリーズ
ダージリン、アッサム、セイロン、モーニングなどがあります。
パリシリーズ
華やかなフレーバーティーのシリーズです。フォションブレンド、ソワール・ド・フランス、パリの午後の紅茶などがあります。
フレーバーシリーズ
シンプルなフレーバーティーのシリーズでアップル、アップル&ローズ、アールグレイ、チャイながあります。
イベントシリーズ
季節ものなどのフレーバーティーのシリーズで有名なものではイヤーティーなどがあります。
FAUCHONの紅茶缶
FAUCHONの紅茶缶には現在2つのラインがあります。
ブティックライン
円柱型の筒に入ったシリーズで、百貨店などFAUCHON直営店で販売されているラインです。高島屋グループ等の百貨店で扱われているのがこのラインです。ネットショップでも扱っています。
こちらは2017年9月30日にスライド式の容器から円筒形に変わったことがFAUCHONの公式Facebookに書かれています。
クラシックライン
元々あったタイプの缶で、ゴールドの缶にピンクのロゴが描かれたものです。量販店向けに価格を抑えたラインで成城石井等の高級スーパーで主に扱われているのがこのラインです。ネットショップでも扱っています。
こちらは2010年からエスビーとFAUCHONが提携して日本向けに「FAUCHON クラシックラインティー」シリーズ新設し、エスビーがその総代理店となり販売しているものです。
くま家にあるFAUCHON
今回は細かい説明というよりもくまの飲んだ感想を中心にまとめました。
ストレートティーシリーズ
Assam
くせがなく、あっさりとした飲み心地ですが、コクはしっかりあります。香りはとても濃厚でいかにもAssam、という感じのよい香りです。濃く出しすぎるとちょっと渋みが強く感じるかもしれません。
ミルクティーやロイヤルミルクティーにはぴったりです。特にロイヤルミルクティーを作るときに一緒に少量のシナモン(パウダーではない)を入れて、とするととても美味しく出来上がります。

Ceylon
セイロンのローグロウンティーとハイグロウンティーのブレンドです。水色は褐色です。デリケートな味わいで香り高くストレートティーで飲むべき紅茶です。万一ミルクを入れるとしても、控えめにしないと香りと風味を殺してしまいます。

Morning
濃い渋みと力強い香りが特徴的です。水色は濃い褐色でおそらくカフェインも大目なのではないかと思います。これは他のTea BrandのEnglish Breakfastに近いものに当たると思います。なのでミルクティー向きです。

フレーバーシリーズ
L’Abricot (アプリコット)
アプリコットの香りがしっかりとして、よくアプリコットの香料を使った紅茶などにあるもものようて香りがまったくありません。味としては香りほどアプリコットが強く主張はしていませんが、ベースの紅茶に苦みがなく、美味しいです。
もちろんストレートで飲むべきですが、ほんの少量の砂糖(もしくははちみつ)を入れるとアプリコットの味が少し際立ってくるように感じました。間違ってもミルクを入れてはいけません。アイスティーにしても非常に美味しいです。廃盤になってしまったのが残念です。

Le Shangrilla (シャングリラ)
くまがFAUCHONの紅茶の中でもっとも好きな紅茶です。一時期原料の不作の問題で世界的に市場から消えてしまって、くまを絶望のどん底に落したのですが、いつのまにかしれっと復活していて、くまを喜ばせた紅茶でもあります。ツンデレさんですね。
柑橘系(オレンジ、ベルガモット、レモン)の香りをミックスして茶葉に加えた紅茶です。ストレートティーで飲むべきですが、夏は茶葉を大目にして濃く出してアイスティーにしても良いかもしれません。

パリシリーズ
Un Après-Midi à Paris (パリの午後)
暮れゆくパリの午後を思わせるロマンティックな香りをイメージして作られたブレンドで、FAUCHONの定番商品でもあります。厳選された中国茶葉にオレンジやバニラ、バラの香りが絶妙に加えられています。特にバラの香りが素晴らしく飲む前にうっとりしてしまいます。香りは香料だけでなく、バラの花びらやオレンジピールも入っていて華やかな感じです。
水色は琥珀色で、味は苦みも渋みも抑え目になっていて飲みやすく、フレーバーを存分に楽しむことが出来ます。苦みや渋みが抑えがちとはいいましたが、旨みとコクはかなりしっかりしていて、ミルクティー向けにブレンドされたのではないかとくまは思いました。もちろんストレートでも美味しいですし、くまはストレートで頂いています。

Melange Fauchon (FAUCHONブレンド)
スリランカ産の紅茶と中国産の白茶 (種類も少なく、生産量も少ない中国茶で、茶葉には新芽が使用されることが多いです。新芽には白い産毛がある品種が多いため「白茶」と呼ばれます。高級茶の1つです)のブレンドに、柑橘類とバニラ、ラベンダーの香りを加えたブレンドです。バニラはバニラビーンズで、香料はオレンジ由来だと思います。FAUCHONの名を冠している定番ブレンドです。
飲んでみた感じとしては最初に強い旨みがきて、その後甘い後味に変わっていく感じです。

イベントシリーズ
Thé Des Célébrations (120周年記念ブレンド)
香りもよく、苦みもなく、飲みやすい美味しいブレンドです。ぜひ名前を変えてでも、定番商品にして欲しかったのですが、残念ながらそうはなりませんでした。周年記念のブレンドと言うこともあってとても力が入っているのを感じました。

FAUCHON Christmas Eve 120
香りが非常に強く、紅茶の味がしない、というくらい香料が強いブレンドです。周年記念の特別ブレンドだったので手にしましたが、正直に言えばあまり美味しくなかったです。
