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Ridgways
Thomas Ridgway
かつて紅茶貿易は東インド会社が独占権を握っていたため、価格が高く品質も不安定でした。 そんな状況に勇気ある挑戦を始めたのが、Thomas Ridgway (トーマス・リッジウェイ)でした。 彼は「公正な価格で最高の品質を」をモットーに不安定だった紅茶市場に挑戦します。 また当時珍しかったブレンドをスタートさせ「ブレンドのリッジウェイ」としての基盤を作りました。Ridgwaysがブレンドにこだわったのは、ブレンドにすることで紅茶の値段を安定させようとしたからなのです。そしてRidgwaysはそれを見事に成功させたのでした。

Ridgwaysとイギリス王室
Ridgwaysのブレンド技術は価格の安定だけではなく、品質も素晴らしかったのです。事実、1876年にはQueen Victoria(ヴィクトリア女王)から個人用のブレンド茶の注文を受けます。そして1886年にイギリス王室御用達の栄誉を獲得し、1876年のブレンドをHer Majesty’s Tea Blend (ハーマジェスティーティーブレンド/現在はHer Majesty’s Blend、通称H.M.B.)と名付けることが許可されます。後にはGeorge VI (ジョージ6世)のお茶商に任命されました。

買収に継ぐ買収
1986年イギリスのティーブランドTyphoo(タイフー)に買収されます。
1990年には、TyphooからPremier Brands (プレミアブランド)にブランドが買収されます。Premier Brandsは、1998年に継続的な王室御用達とフェアトレード倫理基準 への取り組みを強調し、Ridgwaysを再立ち上げしました。
再びTyphooへ
2005年にインドのApeejay Surrendra Group (アピージェイ・サレンドラ・グループ)によってTyphoo Teaが買収されます。それに伴ってRidgwaysのブランドも再びTyphoo Teaによって販売されることになりました。
さらに2021年、TyphooはイギリスのZetland Capital (ゼントランドキャピタル)に買収されました。
2023年3月、TyphooはMoreton factory (モートン工場)を閉鎖し、生産を外注すると発表しました。

そして残念なことにそれにともなってRidgwaysの紅茶は翌年の2024年3月の製造をもって、製造終了となってしまいました。
Typhooその後
ちなみにTyphooは同年8月にモートン工場で立て籠もり事件が起き、その損害から立ち直ることなく2024年6月に大きく値下げされた価格で工場の売却を行いました。そして11月、Typhooは経営破綻しました。12月、Typhoo Teaはマンチェスターを拠点とするSupreme(シュプリーム)社に買収されました。そして2025年にTyphooのサイトが復活し、紅茶の供給も小売店を中心に復活してきているようです。今後Ridgwaysがどうなっていくのかは今のところわかっていません。ですが、希望はまだあるのではないかと思います。
くま家にあるRidgways
Her Majesty’s Blend
Her Majesty’s Blend(ハー・マジェスティー・ブレンド)は通称H.M.B.と呼ばれる、1876年にQueen Victoriaから個人用のブレンドとして注文された折に作られたブレンドです。「女王陛下のブレンド」としてイギリス王室御用達の栄誉とともに世界にRidgwaysの名をとどろかせた傑作ブレンドでもあります。セイロン、アッサム、ダージリンをブレンドしており、気品あふれる香りとコクのある深い味わいがあり、かといって渋すぎないのが特徴です。
くまはストレートで頂く事が多いですが、Queen Victoriaはミルクティーで召し上がられることが多かったようです。水色が濃く出るのとしっかりしたコクがあるのでミルクティーにあうのは間違いありません。
Ceylon系の香りの中に香ばしいさが混ざり、そのバランスをとるためにDarjeelingのフルーティーな香りと花のような香りが間を取り持っているような感じがします。香りではCeylon系が強く出ていますが、Darjeelingの味とAssamの味が上手く連携してくる感じがしています。最初Ceylonの香りがして、次にDarjeelingの爽やかな味がきて、最後にAssamの重さでしめる、という感じでしょうか。感覚的なものを言葉で表すのは難しいですね。

Ridgways Earl Grey
RidgwayのEarl Grey (アールグレイ)は、インドの美しいブルーマウンテンにあるニルギリ産の茶葉を使用しています。この茶葉をベルガモットオイルとブレンドして、柑橘系の香りと味を作り出しています。
1830年代イギリス宰相グレイ伯爵が中国から持ち帰って以降愛飲した銘茶という触れ込み(実際グレイ伯爵は中国に行っていません)で、後にイギリスの貴族・上流階級の午後のお茶の必需品となった特殊なフレバリーティーです。香り立つアイスティーとしても人気です。この辺りの事は「Twiningsの歴史」で詳しく書いていますし、「くま家にあるTwinings」のEarl Greyの所にも詳しく書いていますのでぜひ御覧ください。
くまは当然ストレートで頂くことがほとんどです。淹れる時は熱湯を注いでから2分ほど待つとちょうど良い濃さになると思いますが、これは好みの問題でしょう。ただ、2分以上時間をかけてしまうと渋みが気になる感じになりますのでそれは頭に入れておくと自分好みに調整しやすいと思います。
伝統的に、このお茶は午後または夕方に、マイルドなチーズ、ケーキ、タルト、またはクリーミーなデザートと一緒に出されていました。砂糖を入れる人もいますが、甘さはお茶請けにまかせてストレートティーで頂く方が美味しいと思います。またこの紅茶にミルクはあいません。レモンのスライスを浮かべてレモンティーにすると、ベルガモットの香りとあいまってより深い香りを楽しめると思います。でもその反面、レモンティーにしてしまうと本来の味が抑えられてしまうので「一度(一杯)試してみる」程度で良いのではないかと思います。
