紅茶の成分と特徴

contents

紅茶の成分と特徴

紅茶の成分を一度きちんとまとめておきたいと思ったので、今回はそれをテーマにしました。

1.カフェイン

カフェインについては『紅茶とカフェイン』で詳しく扱っているのでそちらを参照してください。カフェインは紅茶のコクや味の深みを増すものだと考えられています。

2.タンニン

紅茶の水色と味(渋味、滋味、コク)に最も関係があり、タンニンの多い紅茶ほど良品質とされています。紅茶の全成分の約1割~2割程度がタンニンです。タンニンとカテキンと同じものと考えて良いです。

紅茶に含まれるタンニンの含有量は、平均で約14.3%です。中国、台湾、日本、インドのダージリン地方で栽培されている中国種はタンニンが少なく約8.4%、インド(ダージリン地方を除く)、スリランカ、ケニア等で栽培されるアッサム種はタンニンを多く含み約18.2%です。

タンニンが少ないと、渋みが少なくなり、胃腸への負担も少ないです。タンニンには細菌やウイルスに対する殺菌・解毒作用や抗酸化作用などがあります。

また、アイスティーにした時に「cream down(クリームダウン)」や「milk down (ミルクダウン)」と呼ばれて濁ってしまう現象はタンニンとカフェインが水素結合をして肉眼では白く濁って見えるようになる現象ですが、タンニンが少ないと当然これが起こりにくくなります。

なので濁らない綺麗なアイスティーを作るにはタンニンが少ないニルギリ、ジャワ、キーマン、キャンディなどを選ぶと良いのです。逆にウバ、アッサム、ダージリン等のタンニンが多いものだとcream downが起こりやすいです。

cream down (クリームダウン)

ここでアイスティーが白く濁ってしまうcream downについて簡単に解説します。ここではタンニンをカテキンと呼んで説明します。

下の図で1番上に生のお茶の葉のカテキンがあります。この時水色は黄色っぽい緑茶の色です。これが発酵すると紅茶になって、カテキンも紅茶のカテキンになります。紅茶のカテキンができると水色が赤(紅茶色)になります。

そこで紅茶を冷やすと、カフェインがいくつもカテキンに近づいてきて、くっつきます。そうすると青い〇で囲まれているような大きな固まりになります。これが肉眼では白く見えるのです。そしてこの青い〇の固まりがたくさんできるので白く濁って見えるようになってしまうのです。

化学式は無視して、緑の矢印を追ってもらうとわかりやすいと思います。

cream downの仕組み

3.テアニン

アミノ酸の一種で、紅茶の甘味を感じさせる成分です。紅茶の全アミノ酸の約60%がテアニンです。テアニンは血圧の上昇を抑えたり、脳や神経の調整を行う効果があるといわれています。

紅茶のテアニン含有量は、100mlあたり、少ないもので200mg、多いもので800mg程度です。スリランカ6銘柄(ルフナ,ウパ,ヌワラエリア,マタレ,デインプラ,キャンデイ),インド3銘柄(アッサムオーソドックス,ダージリン,ニルギリ), 中国2銘柄(ラプサンスーチョン,キーマン),日本(べにほまれ)の12銘柄の比較をしてみましょう。

テアニン含有量 (mg / 100ml)

4.ポリフェノール

紅茶にはポリフェノールがタンニンやカテキン、テアフラビン、テアルビジンなどとして含まれています。

テアフラビンは赤橙色のポリフェノールで、虫歯抑制作用、抗酸化作用、抗菌作用などがあると言われていますが、詳しいことはまだわかっていません。テアルビジンはより深い赤みのポリフェノールで、紅茶の主成分のひとつです。

この2種類のポリフェノールが紅茶の水色を決めています。テアフラビンが多いと美しい橙赤色に、テアルビジンが多いと褐色が強くなると言われています。そしてテアフラビンが多い紅茶の方が良質の紅茶とされています。

どちらも抗酸化作用があり、動脈硬化を抑制するなどして生活習慣病予防に効果があると言われていますが、どのように働くかなどの詳しいことはまだわかっていません。その他に高分子紅茶ポリフェノールがあり、これは複数のカテキン類が重合結合したポリフェノールで、脂肪の吸収を抑える効果があるといわれています。

100gあたりのポリフェノール含有量 (mg)

5.ビタミン

紅茶にはビタミンA、ビタミンB群、ビタミンPが含まれています。 特にA群に属するカロチン、B群のB1、B2、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチンなどが含まれていますが量はとても少ないです。なので、紅茶を飲むことでこうしたビタミン類が摂れるとは考えない方が良いです。

6.ミネラル

紅茶にはミネラルとして、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リンなどが含まれています。しかしこれもごく微量です。

7.フッ素

お茶に含まれるフッ素濃度は、

紅茶1.82ppm
ほうじ茶1.02ppm
煎茶0.80PPm
ウーロン茶0.48PPm

で、紅茶に一番多くフッ素が含まれています。しかし、虫歯予防など歯に効果がある量は900ppm~9000ppmなので、多少の口臭予防くらいにはなるかもしれませんが、虫歯予防に効果があるとは言えません。