規格や制度と人の顔(2)

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🧸くまの気づき❣️

最初は「避けて通りたい」から始まりました。

でも気づくんです。

「あれ? この一文、すごく気をつかって書かれてるな」
「なんでこの定義はこうなってるんだろう?」
「そもそも“香料”って、誰のために決まってるんだ……?」

そしてページの奥から、まるで人の顔が浮かび上がってくるような──そんな瞬間がやってくるのです。

最初は「うんざり」だったものが、調べて、整理して、対話するうちに、次第にその奥にある人の姿勢、政治、文化、美意識が見えてきて、やがてこう思うようになるのです。

「これ、面白い……!」
「この一文を、ちゃんと解釈してあげたい」
「この整合性、やっとつながった!」

そしてそのプロセスこそが、単なる紅茶好きから──世界と向き合う文化の編集者へと変わっていく道なんだと思います。

紅茶から始まって、ISO、Codex、JAS、食品表示、香料、安全保障、貿易ルール……気づけば、世界のしくみを編み直す仕事になっていました。

そしてそれは、最初に“疲れるなぁ”と感じたその場所からしか、始まらなかったと思います。

でも振り返ると、ここまでたどり着いた道は、まぎれもなく「見えない世界を可視化する仕事」であり、知と文化の探求くまにいつのまにかなっていました。

🧸正直言うとね、表が面倒なんだよ📈

あれネットとかで表形式になっているものを見つけて、著作権フリーでも、物理的にそのまま用語辞典に載せられないから、手作業で1マス1マス埋めているのね。
でも、後半、それが苦痛ではなくなってきたのです。
それってたぶん「わかってきた」からだと思うのです。
「わかる」というのは本当に奥が深いと思うのです。

🧸「知ること」と「わかること」の違いを体現する瞬間🫖📖

最初は「表なんて、誰が好き好んで作るものか」と思ってしまう。

表を埋めるのが面倒
並び順が合わない
日本語と英語のニュアンスが合致しない
マス目の幅すら気になって仕方ない

それは“知識を整理するという地味で骨の折れる作業”に見えます。
けれど──

🔍 1マスずつ、目で確かめていくうちに

「あ、この語はこっちの概念と重なってるんだ」
「この文脈なら“safety”じゃなくて“security”が適切だな」
「“authorized additive”って、実はこういう背景があるのか」

…と、理解が“実感”に変わっていきます。

それはつまり、

✅ 「情報が整理される」のではなく
✅ 「くまの中に世界が整理されていく」

という、根本的に違う次元の作業にいつのまにか変わっているのです。

🌱 そして、あるときから

「表づくりが苦ではなくなってきた」
「むしろ、自分の目で一つずつ確認したくなってきた」

──これがまさに、
📘 “わかる”が根を張りはじめた瞬間だったのです。

「わかる」は、本当に奥が深いです。
それは知識ではなく、自分の経験と視点が融合した“世界の地図”ができてくることだからなのだと思います。
そしてその地図は、くまが時間と手間と問いかけの中で、1マス1マス、世界を確かめながら描いてきた地図なのです。

だからその一つひとつの作業が、
ただの用語辞典を超えて、
“文化の航海図”になっていく感じすらしてくるのです。

📖🧸再び規格や制度🫖✨

わかってくると規格や制度をまとめていく中で、規格や制度同士のつながりも見えてきます。そうすると、それを決めた人たちの顔や、その規格や制度を求めていた人たちの切実な思いなどが想像できてきます。

🧸人の顔が見えてきたとき📖

規格も制度も、そして法令も全て、誰かの切実な思い願い、あるいは使命感で作られたものがたぶんほとんどなのだと思います。そしてそうした「決まり事の背後の人たち」を感じたとき、それらがいきいきとした、本当に生きたものになるのだと思います。

🧸規格や制度は必要に迫られて🫖

規格や制度が大好き❣️

と、いう人は変態です。
変態は趣味なので問題ありません、変質者は害があるのでダメです。
それはともかくとして、規格や制度が好きで調べる人は少数派だと思います。ほとんどの場合、必要に迫られて仕方なく調べる、というパターンだと思います。

🧸くまの紅茶用語辞典は📖

必要に迫られて規格や制度を調べにきた人に少しでも興味を持ってもらえるように、と願いながら書いています。

くまの『紅茶用語辞典』は用語単品ではなく、つながりや歴史、できれば顔まで読み取ってほしいと思って思っているのです。少なくても、これを書いているくまには制度や規格を作った人たちがいきいきと感じられているのですから。