紅茶の買い方・選び方(2)
学習目標
- 紅茶の総合店がどのような役割を持っているかを理解する
- 「品揃えが多い店」がなぜ初心者に向いているのかを説明できる
- 自分に合った総合店の選び方を考えられる
3行まとめ
- 総合店は、産地・フレーバー・茶器・ギフトなどを幅広く扱う、紅茶の入口になりやすい店です。
- 初心者は、選択肢が多く、説明や比較がしやすい総合店から入ると、自分の好みを見つけやすくなります。
- また、総合店は「紅茶を学ぶ場所」としても役立ちます。
この講義の問い
- 紅茶店を選ぶ時、「何を買うか」だけでなく、「自分は何を知りたいのか」という視点で見たことはあるでしょうか。
紅茶店には、それぞれ得意分野があります。国産紅茶に強い店、中国茶や茶器に強い店、フレーバーティーに強い店などさまざまです。その中で「総合店」は、紅茶の世界を広く見渡せる入口として、とても大きな役割を持っています。
4.総合店で買う🍃棚の中に「世界の縮図」がある場所
シングルオリジンやブランドを知ったあと、多くの人が次に足を運ぶのが総合店(セレクトショップ)です。
その代表が日本ではLUPICIA(ルピシア)です。イギリスならTea Palace(ティーパレス)などです。
総合店は、紅茶の世界の中では少し特別な存在です。ブランドのように「声」が一つではなく、産地のように「土地」にも縛られない、その代わり、ひとつの店の中に
- 紅茶(ブラックティー)
- 緑茶・烏龍茶
- ハーブティー
- フレーバーティー
- シングルオリジン
- 季節限定
- テイスティングセット
がまるごと入っています。お茶の遊園地のような所であり、同時に「茶の地図の縮図」なのです。
1.総合店は「旅の中継地」
🌼総合店とは
総合店は、ブランドとは違う役割を担っています。
前回見てきたように、ブランドは世界観がはっきりしている(トワイニング、フォートナムなど)ので、最初の1本を安心して選べます。また、シングルオリジンは土地の声がストレートに届きますし、「世界の地形」がわかる楽しみがあります。
そのどちらとも違うのが総合店です。そこには、世界の広さそのものが棚の上に並んでいるのです。初心者はまず「選択肢が整理されている世界」を歩きますが、その次に「選択肢が広い世界」に必づ来ることになります。その橋渡しをしてくれるのが総合店です。まだ迷いの多い初心者にとって、総合店は「次の段階への安全な入口」になります。
2.総合店を歩く時、覚えておきたい「4つの陸地」
総合店の棚は、実は4つの大陸で構成されています。
🍓4つの大陸
①フレーバーティー(香り付き)
果物・花・ハーブの香りをつけたものです。フローラル(バラなど)、フルーツ(ストロベリー、アップルなど)、スパイス(シナモンなど)、スイーツ(チョコ、バニラなど)などがあり、初心者が惹かれやすい明るい棚だと言えます。また春には桜など、季節の香りのお茶も楽しめます。
②ノンフレーバー(紅茶の本体)
「香り付けなし」の純粋な紅茶です。産地別・茶園別・等級別が並んでいます。ただ、産地が明記されていてもシングルオリジンではなくブレンドのものもありますから、そこは注意をしてみていく必要があります。
③緑茶・烏龍茶・白茶など
東アジアの世界です。「茶の拡張地図」という感じでしょうか。緑茶は緑茶の専門店で、烏龍茶や白茶などは中国茶専門店で買う方がコストパフォーマンスも、種類も豊富でよいとくまは思っています。それに専門店の方の商品知識に基づいたお話はとても勉強になることが多いです。特に白茶は茶葉そのものの良さが試される、ごまかしのきかない茶なので、信頼のおける専門店で店員さんのお話を伺いながら買うことを強くお勧めします。
④ハーブ・フルーツ・デカフェ
夜でも飲めるもの、体調で選べるもののコーナーです。
この4つを頭に入れておくと、広い棚でも迷いが激減します。
3.まずはこの「3つの太い道」だけ覚える
総合店は選択肢が多すぎる場所です。だからこそ、最初は細い道に入らず、太い道だけ を歩くのが安全です。
🫖3つの道
道1:フレーバーは「1本だけ」
最初は香りの強さに引っ張られすぎないようにしましょう。香りの強さで舌が迷わないよう、まずは控えめに、を心がけます。香りの見本が出ている場合もありますから、香りが好みかどうかと共に、香りが強すぎないかもチェックしましょう。
道2:ノンフレーバーは「産地別の基本形」を1〜2本
光のスリランカ、深みのアッサム、香りのダージリン。とはいえ、ダージリンでもオータムナルだと深みがありますし、色々です。ですから、どれもクオリティシーズンのものを選ぶと間違いがありません。
その上でこの3つのどれかを選ぶだけで、世界の地図が描けます。「軸になる紅茶」を選びましょう。
道3:店員さんへの相談は「軽い方向のもの」で
紅茶の世界で「軽さ」は優しさです。初心者にはいつも味方をしてくれる方向です。重い紅茶や癖の強いものは後回しでOKなのです。
実は総合店の棚は、
「紅茶を深く知る人ほど“軽い紅茶”を好む」
という方向性で整えられています。だから初心者も同じ方向で選ぶと失敗しません。
4.ルピシアで迷わないための「安全地帯の銘柄」
🍃はじめの1本
総合店を歩く時、初心者にとって安心して手を伸ばせる場所があります。それをご紹介します。(ここでは「ルピシア=総合店の例」として書きます。)
🌱(1)ノンフレーバーの安全地帯
紅茶の「本体の味」がそのまま分かる位置にあります。
🌺(2)フレーバーの安全地帯
- 白桃烏龍極品
- アールグレイ(ベルガモットの明るい系)
- サクランボ(軽い香りの代表)
香りの入口の「基準値」のような存在です。
🌙(3)夜向け・体調向け
- デカフェ紅茶
- カモミール
- ルイボス
- ローズヒップブレンド
家にひとつあると、日常の「選べる幅」が優しく広がります。とはいえ、正直に言えばくまはデカフェには手を出しません。どうしても風味がカフェインを抜く過程で変質してしまうように感じるからです。また、カモミールやローズヒップなどは総合店で買うより、専門のハーブショップで買う方が良いとくまは経験上思っています。
5.総合店を歩くとき「必ず見てほしい」もの
意外と意識されていない点ですが、ここを押さえておくとより総合店をより楽しむことができます。
📌棚の並べ方(分類)
ルピシアを例とすると、棚の分類そのものに思想があります。
📌ティーバッグの位置
人気商品・初心者向けが多いです(店のメッセージ)。くまはティーバッグを使わないので、あまり詳しくありません。
📌試飲ポット
「いま推している方向性」が一目でわかります。
📌季節限定のフレーバー
その時期の「香りの文化」が出ます。
📌茶園名が書かれた商品
総合店でもシングルオリジンが買えます。ただし、種類は少ないです。
6.総合店の本質
🌈「自分の紅茶棚の原点」を見つける場所
総合店の棚は、そのまま「これからどんな紅茶人生を歩むかのヒント」にあふれています。
- フレーバーが好きなら「香りの世界」へ
- セイロンが好きなら「光と風の世界」へ
- アッサムが好きなら「ミルクティーの深み」へ
- ダージリンが好きなら「香りの森」へ
総合店は、世界地図の「交差点」なのです。紅茶の旅の途中に必ず立ち寄る場所であり、何度来ても違う発見がある場所とも言えます。初心者にとっては、ここが「最初の自由な選択の場所」なのです。
また、地方では紅茶専門店自体がほとんどありません。そうなると茶葉を選んで買う場所がルピシアのようなチェーン型の総合店に限られてしまうというのもあります。秋田に住んでいるくまももちろん、例外ではありません。くまの場合、茶葉はほとんど通信販売で入手していますが、たまには店頭で選んで買いたくなるので、年に4回ほど、季節ごとにルピシアに足を運んでいます。
今日のポイント
- 総合店は「何でもある店」ではなく、「自分の好みを探すための入口」です。
森のくまのひとこと