紅茶画廊へようこそ

Contents

📚書誌

  • 書名:『紅茶画廊へようこそ』
  • 著者:磯淵 猛(いそぶち たけし)
  • 出版社:扶桑社
  • 初版:1996年
  • 体裁:紅茶にまつわる絵画・図像・文学・エピソードを紹介する、ビジュアルブック的な要素を持った随筆集
紅茶画廊へようこそ
紅茶画廊へようこそ出典:撮影:森のくま / © Tea World, 2026

📖本の紹介

いわずと知れた磯淵猛のエッセイ集です。著者が世界各地で収集した紅茶絵コレクションの本です。


☕ 所感

絵画・図像を通じて、紅茶のある風景や場面を視覚的に楽しめる本で紅茶文化の美的側面を可視化しています。紅茶文化を「言葉以外」から語る姿勢は、言語中心の辞典や学術的なアプローチと好対照で、資料として補完的価値が高いと思います。また、磯淵氏らしい「語りかけるような文体」で、絵を眺めながら紅茶を味わうのにぴったりな読書体験が楽しめます。

ただ、絵画の選定と解釈がやや「自己流」で我田引水的な部分もあり、アートヒストリー的にはやや甘く、紅茶との関連づけに無理がある場面もあります。なので、文学・思想・図像史に詳しい読者にとっては、「あと一歩深く読みたくなる」もどかしさも残るのではないでしょうか。

ただ、最初に書いたように紅茶に関する「言葉に頼らない伝え方」の秀逸なお手本のひとつであることは間違いありません。


🧸気になった点

紅茶を「描かれたもの」から読む本です。それは、読むというより、眺めることで心に注ぐ紅茶かもしれません。文体が軽くて上手だから何となく読み進めてしまいますが、やはり前述の我田引水的な解説がしばしばあるのが気になります。

あの文体、軽やかで読者を引き込む、文字通り「語りの名手」なのは間違いないのですが、その軽やかさゆえに「え?そこまで言い切ってしまう?」という強引な紅茶絡め解釈が時々出てくるのが気になりました。

もちろん、気にならない人は気にならないと思います。


🐻まとめ

ともあれ、こうした図版を中心とした紅茶関係の本はこの本から始まったといっても過言ではないでしょう。そしてとてもよくまとまっています。本棚に1冊、この本を並べておくことをくまは紅茶が好きな人には強くお勧めします。