Codex CXS 12-1981 Annex(食品添加物規格附属書:香料の使用指針)

contents

🏷️ Codex CXS 12-1981 Annex(香料に関する附属規定)

分類:国際・国内食品規格集/香料・添加物
正式名称:Annex to the Codex General Standard for Food Additives (Codex CXS 12-1981): Flavourings
制定機関:FAO/WHO Codex Alimentarius Commission
改訂反映:2021年時点で最新整備済(随時更新)


📘 Codex CXS 12-1981 Annexの概要

Codex CXS 12-1981 Annexは、食品に使用される香料(flavourings)の種類・定義・使用基準を国際的に規定する附属文書です。
食品添加物の枠内で香料を扱うため、Codex CXS 12本体の補完的位置づけにあります。主な構成概要は以下のようになっています。

  • 香料の分類:天然香料、天然同等香料、合成香料
  • 各香料の使用目的(例:芳香付与、苦味修正)と制限条件
  • 単一物質 vs 調合物の区別、及び技術的純度要件
  • 食品中での機能的存在意義と非医薬的性質の強調

🎯目的

食品に使用される香料について、成分の定義・使用基準・技術的機能の範囲を明示し、添加物規格の一部として補完的に管理することを目的としています。


📜起源・背景

香料の使用は文化・地域性により非常に多様であり、従来の添加物分類では十分に整理できない複雑さを抱えていました。しかし消費者の安全と食品の表示透明性を確保するため、Codex CXS 12-1981の附属文書(Annex)として位置づけられました。

香料規定は文化的・宗教的背景とも深く関係し、Codexでは単なる添加物の一分類ではなく「食品の感覚的同一性」を維持するための制度的工夫とされています。


🪻香料の分類(Codex & ISO 9235 に共通)

この文書では、香料を以下のように分類し、それぞれに安全性・純度・由来などに関する基準を設けています。

区分定義備考
天然香料(Natural flavourings)動植物由来の素材から物理的・酵素的・微生物的手法で得られる揮発性成分。ISO9235と定義が一致。(例:柑橘製油、バニラ抽出物)
天然同一香料(Nature-identical flavourings)自然界に存在する化合物と同一だが、化学合成で得られるもの。例:合成パ二リン(リグニン非由来)
合成香料
(Artificial flavourings)
自然界には存在しない構造を持つ化合物で、人工的に合成された香味物質。例:エチルマルトール、グリーンノートの合成品など。
熱反応生成香料(Thermal process flavourings)原料を加熱反応(添いラード反応など)により得られる香料。加工食品に多用される。(例:ロースト香)
香料の分類(Codex & ISO 9235 に共通)

🧭 主な規定内容

  • 各香料の製造由来(天然/合成)と用途の明記
  • 最大使用量の上限は、Codex CXS 192(汚染物質基準)に準拠
  • 毒性・評価・ADI(許容一日摂取量)はJECFA評価に依拠
  • ISO 9235の定義を正式採用(“天然香料”の法的意味がここで固定化)
  • 複合香料や香料原料のラベル表示方針はCXS 1-1985と連携

🚢運用上の意義

  • フレーバーティーやハーブティーなど「香りが主機能となる商品」への法的対応の基盤
  • 天然・合成に関する消費者不安への制度的裏付け
  • 製造業者が使用香料の申請・表示・証明を行う際の標準文書

🧪 Codex外部との関連性

  • ISO 9235
    天然香料の定義規格。 Codex Annexの定義ベース。
  • JECFA
    香料の毒性評価・ADI設定。 Codex Annexで引用される評価機関。
  • IFRA Code of Practice
    香粧品香料の使用基準(非食品)。 食品香料の規制と併用する場面あり。
  • 食品表示基準
    「香料」「天然香料」の表示義務。 Codex Annexと整合性あり(ただし曖昧さも)。

🍃紅茶との関連

  • この文書は「香料の定義・表示・使用限界・分類」を一括して定めた、紅茶に香りをつける行為すべてに関わる国際基準です。
  • とくに「天然香料」と「合成香料」の表示・訴求を行うティーブランドにおいては、マーケティング文言が法的に誤認表示とされるかどうかの分水嶺ともなります。

※本項目は筆者が大手香料会社と行った研究で得た知見を含みます。熱反応生成香料は、記憶と化学が交差する “嗅覚の再構築” とも言える分野です。


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