FIC規則

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🏷️ Regulation (EU) No 1169/2011【食品情報提供に関する規則(FIC規則)】

正式名称:Regulation (EU) No 1169/2011 on the provision of food information to consumers
通称:FIC規則(Food Information to Consumers Regulation)
施行日:2011年12月13日(義務化:2014年12月13日)


📘 概要

EU食品情報提供規則(FIC規則:Food Information to Consumers Regulation)とは、EU域内で流通する全ての食品に対して消費者に適切かつ明確な情報を提供することを義務づけた統一ルールであり、包括的な食品表示法です。

正式には Regulation (EU) No 1169/2011 として2011年に採択され、以後の表示義務における枠組みを決定づけています。

内容は Codex CXS 1-1985(食品表示規範)を技術的に反映しており、原材料名、アレルゲン、栄養成分、香料の表示など、食品パッケージ全体の記載内容を規定します。


📦 適用対象と表示義務(紅茶との関係)

項目概要紅茶への影響
表示義務の基本原則
(Article4‐7)
消費者が誤認しないように情報提供すること「ベルガモット入り」や「無添加」などの記述も規制対象
名称(Article 17)販売名称の正確な表記「紅茶」「アールグレイ」「オーガニック紅茶」などに影響
原材料・添加物の表示
(AnnexⅦ)
成分の割合(QUID)やクラス名称の使用方法を規定。全原材料の重量順表示。フレーバーティーなどで香料や混合物の表示義務が発生。「香料」「甘味料」などの一般名称使用にルールあり
アレルゲン表示(Annex II)EU既定の14種アレルゲンを強調表示(太字など)ミルクティー粉末やスパイスティーなどで影響あり。香料に由来するアレルゲンも含まれる(例:ナッツ抽出物)
ネット量正味重量(例:50g)ティーバッグ・リーフの双方で明示
「天然」や「無添加」の表現(Recital26など)表現の正確性と根拠が求められる。EC1334/2008との整合で香料の「天然」表記も規制対象に。
原産国表示(Article 26)原材料と製造地の地理的乖離がある場合、表示が義務化されることもある。複数産地混合紅茶では注意が必要。ブレンドティー(スリランカ+ケニア+英国包装など)
栄養成分表示(Article30)加工品にはエネルギー・脂質・糖質などの表示が必要紅茶飲料(RTDティー)では義務。乾燥茶葉には免除可能。
保存方法・賞味期限消費者への安全情報湿気・香り保持条件の表示義務発生

🧾 特記事項(表示の透明性と香料)

  • 香料の表示(Article 18)
    ・「flavouring」または「natural flavouring substances」などの記載義務
    ・Codex CXS 12-1981 Annex/EC 1334/2008と密接に関係
  • 強調表示と「ナチュラル」表記(Article 7)
    ・消費者誤認を避けるためのルール厳格化
    ・「natural」や「organic」などの表示に根拠規格が必要
  • ラベルの視認性(Article 13)
    ・フォントサイズ、背景とのコントラスト、消えにくさなども義務化

🌍 他制度との連携・関係性

関連規格・法令関係性
EC 1334/2008(香料規制)表示される「flavouring」の定義・許可範囲を定める
EU Organic Reg. 2018/848「オーガニック」表示に関する別規制との接続が必要
Codex CXS 1-1985(表示規範)Codexとの整合を意識した制度設計
日本の食品表示基準類似性はあるが、表示順・アレルゲン強調方法が異なる

🫖 紅茶や清涼飲料における注意点

  • ティーバッグ紅茶
    原産地・フレーバーの由来(天然 or 合成)・ブレンド構成の記述が問題になりやすい。
  • RTD(茶系清涼飲料)
    栄養成分・香料・甘味料表示義務がある。
  • フレーバーティー
    「天然ベルガモット香料」と表示する場合、EC 1334/2008の定義条件を満たすことが前提。

✍️ 注記

紅茶は比較的表示義務が緩やかと思われがちだが、フレーバー・スパイス・乳成分・アレルゲンなどが絡むと一気に表示範囲が広がります。

FIC規則の特徴は、「消費者保護のための統一透明表示」にあり、誇張・暗示表現も対象となる点が他制度より厳しいです。


🐻くまの一言

この規則は「紅茶パッケージに何を書くか/書けないか」をすべて決める制度 です。Codexの理念をベースにしていますが、実際の罰則・監督体制はEUレベルで厳格化されています。

EC 1334/2008 が「使える香料」を定め、
EC 1169/2011 が「それをどう表記するか」を定めます。

つまり、この2つは紅茶表現における 制度的「香りと言葉のバランス」 を統括するペアなのです。


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