contents🔹 ISO 1573の規格名(日本語)
ISO 1573:1980 茶 ― 103℃における質量減少の測定
🔹 概要
ISO 1573は、水分含量測定とよく日本語では要約されますが、英語の原題では “moisture content” ではなく loss in mass(質量減少) という表現が使われています。これは、乾燥によって飛んだ水分の量=質量減少と捉えるからです。茶葉を含む食品中の水分含量を103℃の乾燥処理で測定する方法について定めたものです。
特に紅茶の品質管理や貯蔵安定性評価において、含水率の測定は重要な工程であり、ISO 3720(紅茶の基本規格)でも間接的に参照される基準のひとつです。
🔹 技術的内容(概要)
- 試料の重量を記録した後、103℃で一定時間加熱乾燥
- 減少した重量差を水分として算出
- 主に製造時の乾燥度確認や保管中の品質劣化予測に使用
🔹 紅茶との関係
- 紅茶の乾燥度(Drying Degree)は、風味や保存性に直結します。
- 過剰な水分はカビ・劣化のリスクを高めるため、出荷時・保存前の測定が必須です。
- ダージリンなど高級茶の輸出時にも水分含量は輸出品質項目に含まれることがあります。
🔹 関連規格
- ISO 1572(粉砕と試料調整)
- ISO 3720(紅茶の定義と基本要件)
- ISO 7513(インスタントティーの水分測定)
🧸くまのひとこと
紅茶における「水分」は、単なる数字ではありません。
たった数パーセントの違いが、香りの立ち方・保存性・価格を変えてしまいます。特に紅茶のように世界中を輸送されるものは気温差など様々な要因にさらされるので、水分含有量が品質にダイレクトに影響します。
ISO 1573は、そんな「見えない水分の重さ」を測る、ひそかな主役です。