ISO 3103(標準紅茶抽出法)

contents

定義

ISO 3103:2019 は、紅茶の官能評価を行う際に用いられる国際的な標準抽出方法を定めた規格です。
正式名称は「Tea — Preparation of liquor for use in sensory tests(紅茶の官能試験用抽出液の調製法)」です。
国際標準化機構(ISO)によって1980年に制定されました。


主な目的

  • 異なる紅茶製品の比較試験を可能にするための抽出条件の統一。
  • 主観的な味覚評価を科学的に再現可能な形で行うための基盤。

主な仕様内容(要約)

項目内容
茶葉量2.0g±0.05g(7cmの四角い紙の上で均等に分散可能なサイズ
水の量100ml±5ml
水の温度沸騰直後の水(100℃)
抽出時間6分間±15秒
使用器具白磁性のティーポット(容量310ml±10ml)、ふた、注ぎ口・ふた共に一定規格。
評価カップ白磁のティーカップ(200ml)、内部は白色であること。

特記事項

  • ミルクを加える場合は「茶液をカップに注いでからミルクを加える」のが推奨手順です(逆は不可)。
  • 実際の嗜好ではなく、「比較可能性を重視した評価用標準」です。
  • 実生活でこの方法が使われているわけではありませんが、ISO規格上は科学的試験の共通手順として広く認知されています。

エピソード

  • 英国ではこの規格が一部メディアで「紅茶の淹れ方を規定する法律」のように誤解されて紹介されたこともあります。
  • ISO 3103は紅茶ファンの間では軽いジョークや都市伝説的存在として言及されることも多いです。しかし、実際には業界の品質試験や製品開発の場で重要な役割を担っています。

🧸くまの一言

この淹れ方で淹れた紅茶を飲みたいですか?

こう聞かれたら、くまはお断りします。なぜなら、どう考えても抽出時間6分は長すぎます。実際、試したことがありますが、はっきり言っておいしくないです。

でも、どこかで線引きをしないといけない、ということでこの抽出時間も決められたのは間違いありません。また、長めにするのは「差を誇張」するためというのもわかります。なぜなら抽出を十分に進めると「渋味・雑味まで出やすい=ロット差や欠点が見えやすい」という理由があるからです。そこまではわかります。

でも「どうして6分なのか?」たとえば「きりの良い5分ではなぜダメなの?」などと考えてしまうくまにとって「6分」はいまだに謎です。


🔗リンク