PX(Post Exchange)と物資放出

contents

概要

PX(Post Exchange)は、駐留アメリカ軍の軍人および関係者向けに設置された売店のことを指し、1945年以降の日本占領期においては、日本国内の米軍基地や一部の施設内で運営されていた「外国製品供給源」でした。

PXでは、軍関係者が生活に必要な物資(たばこ、菓子、缶詰、石鹸、酒類など)を購入でき、これらの物資はやがて「進駐軍放出品」として日本国内の市場に流出することになります。

紅茶もこのルートで国内に入り、多くの家庭が「初めて飲んだ本格的な紅茶」はPX放出品だったという記憶を共有しています。


紅茶とPXの関係

視点内容
紅茶の種類主にアメリカ経由のティーバッグ式紅茶(Lipton等)や、イギリス系紅茶缶(Twinings, Brooke Bondなど)
流通形態軍関係者がPXで購入 → 日本人と交流・譲渡・転売 → 闇市や家庭内に流入
入手手段軍人の家族・基地勤務者・通訳などを介した“非公式”な流通
印象「進駐軍の味」「特別な人が飲むもの」「パッケージが美しい」「香りが異国的」

PX品はそのパッケージや香りの豊かさにより、戦後の紅茶に対する「理想像」を形作る原点となりました。


放出品(Surplus)と紅茶文化

GHQや米軍が余剰在庫(サープラス)として放出した物資は、「放出品」として闇市や一般市場に出回りました。

これらの紅茶は、缶詰食品やコーヒーとともに“戦後モダン”な嗜好品の代表格となり、紅茶文化が日本に定着する過程で「隠れた原動力」となっていたのです。


文化的影響

  • 紅茶を「飲むだけで外国文化に触れられる」象徴的な体験とする土壌が形成されました。
  • 欧米風のティータイム(洋菓子+ティーカップ+缶紅茶)の原型が家庭内に普及しました。
  • 放出品紅茶の缶・包装・味が、後の国産紅茶ブランドやティールーム文化に強い影響を与えました。

📦 特に紅茶缶はそのまま再利用され、「おしゃれな生活」「上等なもの」への憧れを象徴する存在になっていました。


🔗リンク