アッサム(紅茶)

contents

🌾 第1章 摘採とフラッシュ

– アッサムティーの四季と味わいの違い –

🍃 フラッシュ(Flush)とは?

紅茶の世界で「フラッシュ(Flush)」とは、新芽の摘採時期(収穫期)を表す言葉です。
アッサム州では、年間を通じて複数回の茶摘みが行われ、それぞれの時期で茶葉の特徴・香り・水色が異なります。

📅 摘採シーズンと特徴

各フラッシュの特徴

フラッシュ名時期(目安)特徴水色イメージ
🥇 ファーストフラッシュ(First Flush)2〜4月柔らかな香り・まろやか淡めの赤色
🥈 セカンドフラッシュ(Second Flush)5〜6月アッサムの最盛期・力強くバランス良深い赤褐色
☔ サードフラッシュ(Third Flush)7〜9月雨季の茶・品質はやや劣るやや暗い赤茶
🍁 オータムナル(Autumnal)10〜11月香り高く、2ndに似た品位柔らかな赤色
❄️ フィフスフラッシュ(Fifth Flush)11月中旬〜12月香り・コクともに弱め、主にブレンド用ごく淡い赤茶

🧪 味の違いのポイント

  • First Flush:新芽ならではの繊細な香り。軽めのストレートに向く
  • Second Flush:アッサムの真骨頂。コク・香り・濃さのバランスが良い
  • Autumnal:乾季の落ち着いた甘みが特徴。香り好きに好まれる
  • Third / Fifth:雨季の茶は香味が劣るため、主にブレンド用に加工

水色(Liquor Color)5種

🌱 First Flush(ファーストフラッシュ)

First Flushの水色(淡い赤色)
ファーストフラッシュの水色
(やや淡い赤色)

🔆 Second Flush(セカンドフラッシュ)

Second Flushの水色(濃い赤茶)
セカンドフラッシュの水色
(濃いめの赤茶色)

🌧️ Third Flush(サードフラッシュ)

Third Flushの水色(赤褐色)
サードフラッシュの水色
(ややくすんだ赤褐色)

🍁 Autumnal(オータムナル)

Autumnalの水色(柔らかい赤茶)
オータムナルの水色
(落ち着いた赤茶色)

❄️ Fifth Flush(フィフスフラッシュ)

Fifth Flushの水色(暗い赤褐色)
フィフスフラッシュの水色
(暗く控えめな赤褐色)

⚙️ 第2章 製法 – Orthodox と CTC の違い

– アッサムティーを形づくる工程とその意味 –

🏭 紅茶製法の基本構造

アッサムティーは、その製法によって大きく2つに分けられます。

製法名特徴主な用途茶葉の形状
オーソドックス(Orthodox)製法手摘み・伝統的製法高級紅茶、リーフ販売大きめのリーフ形状
CTC製法機械で粉砕・量産型ティーバッグ・ブレンド用粒状(Crush, Tear, Curl)

🫖 オーソドックス製法とは?

「オーソドックス」は「伝統的な」「本格的な」という意味です。
アッサムのオーソドックス紅茶は、手摘みされた新芽を丁寧に処理することで、複雑な香りとまろやかな味わいを引き出します。

主に高級店・専門店で扱われるリーフタイプの紅茶です。


🛠️ CTC製法とは?

「CTC」は “Crush(潰す)– Tear(引き裂く)– Curl(丸める)” の略です。
1950年代以降、インドで開発・普及し、今では世界の大量生産紅茶の主力製法です。

特徴

  • 茶葉を機械で一気に処理し、粒状に成型
  • 味が濃く出やすく、ミルクとの相性抜群
  • 大量生産・均質な品質が確保できる
  • ティーバッグ用途に多用される

🖼️ 製法別ロゴマーク

アッサム州政府または関係機関により、次のような公式認証マークが用意されています:

🏷️ Assam Orthodox Tea(オーソドックス認証)

  • 手摘み・伝統製法で製造されたアッサム紅茶に付与
  • 輸出業者・高級茶販売業者が使用

🏷️ Assam CTC Tea(CTC認証)

  • CTC機械製法による茶葉に付与されるマーク
  • 主にティーバッグや業務用ブレンドに使用される

🍃 製法の選び方・飲み方の違い

飲み方向いている製法(カテゴリ)理由
ストレートティーオーソドックス繊細な香り・余韻が活きる
ミルクティーCTC濃厚な味わいと強い抽出力
アイスティーCTC(濃く出る)またはオーソドックス(香り重視)希釈を考慮して選ぶ

🏷️ 第3章 認証とロゴ

– Assam Tea の信頼とブランドを守る印 –

この章では、「アッサムティーの品質・出所・製法を証明するマーク」に焦点を当てます。

✅ 地理的表示(GI)とは?

GI(Geographical Indication:地理的表示)とは、
「その土地ならではの特性を持った農産物・食品」に認められる法的保護制度です。

アッサムティーもその対象であり、“Assam Tea” はインドの国家的ブランドとして登録されています。

  • 管轄:インド紅茶局(Tea Board of India)
  • 目的:偽物防止・品質保持・生産地保護

🏷️ Assam Orthodox ロゴ

  • 伝統的なOrthodox製法によって製造されたアッサムティーに付与
  • 認証対象:登録された茶園・工場による生産品
  • 多くはリーフティーとして高級市場向けに出荷される
アッサム・オーソドックス公式ロゴ
アッサム紅茶の正規認証マーク(Orthodox製法)
発行:Tea Board of India

📝 紅茶のパッケージにこのマークがあれば「正統派のアッサムリーフ」である証拠です


🏷️ Assam CTC ロゴ

  • CTC製法(機械量産)によって加工されたアッサムティーに付与
  • 認証対象:CTC方式で製造された純正アッサムティー
  • 主にティーバッグやブレンド用として流通
アッサム・CTC製法公式ロゴ
アッサム紅茶の正規認証マーク(CTC製法)
発行:Tea Board of India

📝 このマークがあれば「正規のCTCアッサム」であることが保証されます


🧭 ロゴの意味と役割

ロゴの役割と内容

役割内容
品質保証基準を満たした製造・管理体制の証明
偽装防止他地域・他国による「アッサム詐称」の抑止
他地域・他国による「アッサム詐称」の抑止国際市場での信用と価格維持
生産者保護生産地の知的財産権を守る

💡 応用と表示ルール

これらのロゴは、ライセンス取得者のみが使用可能であり、以下の点に注意が必要です。

  • 無断使用は法的リスクがあります(知的財産権侵害)。
  • 原則として100% Assam産でなければ表示できません。
  • 包装・輸出書類・販売時点で表示義務があります(対象国による)。

🖼️ 使用場面

  • 海外輸出用の大型CTCパッケージ
  • 高級茶葉リーフ缶(Orthodox)
  • 茶園や工場の公式サイト・パンフレット

📖 第4章 用語と注意点

– 紛らわしい言葉と正確な理解のために –

✅ 「アッサム」という語が指すもの

「アッサム」は非常に多義的な語であり、文脈によって意味が変わるため、注意が必要です。

表現意味分野
アッサム(地名)インドの州名。正式には Assam State地理・行政
アッサム(茶産地)アッサム州の茶栽培地域、とくに Brahmaputra 流域茶産業
アッサムティー(Assam Tea)アッサム産の紅茶全般製品・流通
アッサム種(Assamica)茶の品種の一種(Camellia sinensis var. assamica)植物分類
アッサムCTCアッサム産のCTC製法による紅茶加工方式
アッサムオーソドックスアッサム産の伝統製法紅茶(Orthodox)加工方式・高級茶

🌀 表記ゆれの例と推奨

紅茶に関する記事やパッケージでは、さまざまな表記ゆれが見られます。以下は、できる限り統一表記を行うことが望まれます。

よくあるゆれ推奨表記備考
Assam tea / Assam TeaAssam Tea固有名詞として大文字推奨
アッサム種(品種名)Camellia sinensis var. assamica学名で統一
orthodox / オーソドックスOrthodox(製法名)先頭大文字で区別明確に
C.T.C / CTC製法CTC製法現代は略称統一が一般的
First Flush / 1st FlushFirst Flush説明内に「1st / ファースト」併記がベター

📚 情報発信の際に気をつけるべきこと

  • 「アッサム=CTC」と思われがちだが、オーソドックス製法の名品も存在する
  • 「Assam tea」と書かれた商品でも、実際にはブレンド(アッサム主体)である場合がある
  • 「アッサム種」と「アッサムティー」は同一ではない(他地域でもアッサム種が栽培されている)

💬 英語との対照表(ミニ辞典風)

日本語英語表記解説
アッサムティーAssam Tea紅茶製品名として
アッサム種(品種名)Assamica品種として(学名併記推奨)
orthodox / オーソドックス製法Orthodox method伝統的製法
CTC製法CTC method大量生産型製法
フラッシュFlush摘採期(First, Secondなど)

🔗リンク