🇫🇷フランス式の淹れ方
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特徴
香りと空間の調和を重視した、時間的ゆとりと感性を大切にする紅茶抽出スタイルです。
起源・背景
フランス式の紅茶の淹れ方は、イギリスの「ゴールデンルール」のような数値や手順に厳格な形式ではなく、香りと雰囲気を重視する文化的背景に根ざしています。19世紀末のサロン文化や、パルファン(香水)文化とも通じる「香りの扱い方」が根幹にあります。
また歴史的に見ると、フランスに紅茶が伝来したのはイギリスより早かったのですが、その後イギリスが東インド会社を通じて紅茶の流通を実質的に独占したことで、フランスへの輸入量は限られ、紅茶は常に高級品としての位置づけに留まりました。これにより、フランスではコーヒー文化が一般化し、紅茶は「特別なとき」に楽しむ「特別なもの」として、香りや場の演出を重視する傾向が強まったのでした。
特徴的な手法
- 茶葉と湯の比率や抽出時間に明確な基準を設けない
- 蒸らし時間は長め(例:8〜10分)でも構わないとされる
- フレーバーティーやハーブティーとの親和性が高く、香りのブレンドを重視
- 「飲み始めるタイミング」も個人のリズムに委ねられる
- 運用上の意義規則性ではなく、香りの開き方や飲む人の体感を尊重する文化的淹れ方
- フランスにおける紅茶文化(ティーサロン、メゾン・ド・テ)の核となるスタイル
- 現代においては、香りの演出を前提としたティーサービスや空間設計にも通じる
備考
フランス式は、過度に抽出されてしまうと渋味や苦味が強く出るため、適温に冷まして香りを楽しむ「余韻の設計」が前提となります。したがって、即時性・効率性を求める日本的な飲み方とは異なる“時間の感性”が内包されており、それ自体が紅茶の文化的多様性を物語っているます。
また、特に香りを重視する抽出スタイルにおいては、金属ストレーナーではなくコットン製フィルター(布フィルター)を用いることがあります。ポットに直接茶葉を淹れないで、珈琲のネルドリップのようなコットンフィルターの中に茶葉を入れて、それをポットにセットしてお湯を注ぎます。これは金属臭を避け、繊細な香気を最大限に活かすための工夫であり、香水文化やハーブの取り扱いに通じるフランス独自の「香りの哲学」が反映されているのです。
