原産地証明書(Certificate of Origin)

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定義・概要

原産地証明書(Certificate of Origin) とは、貨物の原産国を証明する公的書類です。C/OもしくはCoOと略されることも多いです。 書式にはForm A / RCEP 等があります。

FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)、あるいはRCEP(地域的な包括的経済連携)などの協定に基づいて、関税優遇措置を適用する際に必要とされます。


制度的背景

国際貿易においては、同じ商品でも「どの国で生産されたか」によって関税率が異なります。

一般原産地証明書

一般的な原産国の証明(非優遇)。

特定原産地証明書

FTA/EPAなどの枠組みに基づき、関税優遇措置を受けるための証明(優遇C/O)で以下のものがあります。

  • GSP(一般特恵関税制度) … 発展途上国からの輸入を優遇。
  • FTA / EPA … 特定の協定締結国間で関税を引き下げ。
  • RCEP … 東アジア・太平洋地域の広域経済連携協定。

こうした制度の中で、原産地を証明するための公的な書面が「Certificate of Origin」です。


発行主体と形式

  • 輸出国の商工会議所や政府機関が発行
  • 日本では、日本商工会議所(JCCI)が多く発行しています。
  • 書式は協定ごとに異なり、
    • GSPでは「Form A」
    • RCEPでは「RCEP用様式」

など、協定のルールに沿ったフォーマットを使います。

  • 通常、インボイス、パッキングリスト、B/Lと共に提出されます。

🔄 C/OとRCEP Certificate of Originとの違い

項目C/O(一般)RCEP Certificate of Origin
主な役割原産国を証明するRCEP協定に基づく原産性を証明し、関税優遇を得る
認定機関商工会議所・税関など税関等の指定機関(国により異なる)
関税優遇との関連原則なし(一般的な証明)優遇関税の適用に必須
証明要件原産地表示、原料原産地など協定に準拠した原産地規則(PSR)に適合
フォーマット国や商工会議所により異なるRCEP協定に定められた統一フォーマット
性質一般的な原産国の証明特定原産地証明書の一種

紅茶との関連

紅茶の輸入においても、この証明書は極めて重要です。

  • スリランカ紅茶(ライオンマーク) … 原産地証明がなければ「スリランカ産」としてのブランド価値や関税優遇を受けられません。
  • ネパール紅茶 … GSPやRCEPの枠を利用して、日本市場への無税・減税輸入を実現するために必要です。

歴史的・文化的含意

「紅茶=産地の名前で売られる」商品である以上、原産地の証明は経済だけでなく文化・ブランドの保護とも深く関わります。近年は GI(地理的表示保護制度)とも接点を持ち、紅茶産地のアイデンティティを守る仕組みの一部になっています。


🫖 紅茶文脈での使い方(英和例文)

英文: This tea is exported with a Certificate of Origin issued by the Japan Chamber of Commerce.

和訳: この紅茶は日本商工会議所が発行した原産地証明書付きで輸出されています。

英文: To qualify for tariff reduction under the RCEP agreement, an RCEP Certificate of Origin is required.

和訳: RCEP協定の関税削減を受けるには、RCEP特定原産地証明書が必要です。


🧸 くまの一言

「原産地証明書」というと一つの書類のように聞こえますが、実はその中に多くの制度的なバリエーションがあります。
特にFTA/EPAの普及により「どの協定に基づくか」によって効力がまったく違う点には要注意です。
ラベルの裏にある「国名」の向こうには、きちんとこうした書類があるのです📜


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