香料表示制度(日本)
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📘 概要
日本の香料表示制度は、「食品表示基準」「食品衛生法」「食品添加物公定書(告示)」などを基盤に、食品に使用される香料の使用・表示のルールを定めています。
紅茶においては、フレーバードティー(香料付き紅茶)のラベル表示や、使用可能な香料の種類と範囲に関係します。
🔍 香料の分類と法的位置づけ
日本では、香料は原則として「食品添加物」の一種として扱われています。
食品添加物としての香料には「使用基準」が設けられておらず、“適量使用”であれば自由に使用可とされています(いわゆる「無制限添加物」)。
天然香料と合成香料は制度上の区別はありますが、表示義務においては区別されません。
🏷️ 表示ルール(食品表示基準)
| 内容 | 説明 | 
|---|---|
| 表示義務 | 香料を使用した場合は「香料」と表記が必要です。用途名(例:「香料(ベルガモット由来)」)の記載は任意です。 | 
| 詳細表示の自由 | 「天然香料」「合成香料」「香料名(例:ベルガモット香料)」の記載は任意であり、義務ではありません。 | 
| 使用量の表示 | 香料の使用量は表示義務がなく、含有量に関する情報は提供されません。 | 
| 例外事項 | 「着香した旨の記載(例:ベルガモットの香り)」は、香料表示とは別扱いとされることがあります。 | 
🫖 紅茶における実際の表示例
| 表記 | 状況 | 
|---|---|
| 「香料」 | 最低限必要な表示。これだけで合法。 | 
| 「香料(ベルガモット由来)」 | より具体的な任意表示(品質アピールとして多用) | 
| 「ベルガモット香料」 | 商品イメージ強化のための自主表示。法的義務はなし。 | 
| 「天然ベルガモット香料」 | 消費者向け訴求として使われるが、定義の基準なし(ISO 9235とは連動していない) | 
🌐 国際的比較の視点
| 規制名 | 特徴 | 日本との違い | 
|---|---|---|
| Codex CXS 12-1981 Annex | 香料の分類(天然・人工)を明確に定義 | 日本の制度ではこの分類が表示に反映されていない | 
| EC 1334/2008(EU) | 「天然香料」の表示には95%以上天然成分など厳格な条件 | 日本は任意表示のため、表示の厳密さが劣る | 
| ISO 9235 | 「天然香料」の定義を科学的に明文化 | 日本では使用義務なし。任意使用可能 | 
| JECFA評価 | 国際的な香料の安全性評価機関 | 日本ではこの評価に基づく香料も使用可能 | 
🔗リンク
- 食品表示基準(日本)
 - Codex CXS 12-1981 Annex(香料の使用指針)
 - EC 1334/2008(香料規則:EU)
 - ISO 9235(天然香料の定義)
 - Regulation (EU) 2019/1381:香料評価の透明性に関する制度
 
🧸くまの一言
くまが昔関わったような本格的な香料設計から見ると、日本の香料表示制度は「ぬるい」と感じます。
なぜなら、「天然」と書いても定義がなく、「香料」としか書いてない商品でも本当は何が入ってるのか誰もわからないからです。
だからこそ、ラベルの文言よりも、「どの会社が、どんな設計思想で作っているか」を読み取る力が、紅茶に限らず消費者にとっては一番の「大事な嗅覚」なのかもしれません🌿