HACCP

contents

概要

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Point(危害要因分析と重要管理点)の略で、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法です。

📌基本的な定義

HACCPは、食品の製造・加工・流通過程において発生し得る危害(Hazard)──たとえば、微生物汚染・異物混入・化学物質・アレルゲンなど──を事前に洗い出し(Hazard Analysis)、
それらを未然に防ぐために特に重要な工程(CCP = Critical Control Point)を設定し、これらを継続的にモニタリング・記録・管理することで、食品の安全性を科学的かつ合理的に確保する手法です。

🧪起源と国際的背景

  • HACCPは、1960年代に米国NASAとピルズベリー社が宇宙食の安全性確保を目的として開発したのが起源です。
  • その後、Codex Alimentarius委員会(FAO/WHO)がHACCPの原則を国際食品衛生規範に取り入れ、各国で制度化が進みました。
  • ISO 22000などの食品安全マネジメント規格でも、HACCPの考え方が中核となっています。

🇯🇵 日本における制度化

  • 2021年6月より、日本国内のすべての食品関連事業者に対して原則HACCP義務化(食品衛生法改正)となりました。
  • 小規模事業者に対しては、弾力的な「HACCPの考え方に基づく衛生管理」も認められています。

🍃紅茶との関連

紅茶の製造・加工・包装工程においても、HACCPは以下のような目的で活用されている:

  • 乾燥葉に混入しやすい異物(金属片、虫、樹皮など)の除去
  • 製造ラインの衛生状態の管理(クロスコンタミ防止)
  • 最終包装段階での清潔区域管理
  • 輸出入時の食品安全保証手段としての認証取得(特にOEM製造や食品チェーン向け製品)

特に国際流通を視野に入れた茶工場や、大規模な茶ブランドでは、HACCPに基づく工程設計が不可欠である。

HACCPの7原則

  1. HACCPの7原則
  2. 危害要因分析(Hazard Analysis)
  3. 重要管理点(CCP)の設定
  4. 各CCPにおける許容限界(CL)の設定
  5. CCPのモニタリング方法の設定
  6. 許容限界を逸脱した場合の是正措置の設定
  7. 検証方法の設定(HACCPシステムが機能しているか)
  8. 文書化および記録の保存

📐HACCP導入の12手順

  1. HACCPチームの編成
  2. 製品の詳細な記述
  3. 意図する用途の特定
  4. 製造工程一覧図の作成
  5. 製造工程一覧図の現場確認
  6. 危害要因の分析(原則1)
  7. 重要管理点の設定(原則2)
  8. 許容限界の設定(原則3)
  9. モニタリング方法の設定(原則4)
  10. 是正措置の設定(原則5)
  11. 検証手順の設定(原則6)
  12. 文書化と記録保存(原則7)

📓紅茶製造におけるCCP(重要管理点)の例

紅茶製造におけるCCP(重要管理点)の例
紅茶製造におけるCCP(重要管理点)の例

関連用語

ISO 22000(食品安全マネジメントに関する国際規格)
Codex HACCP
FSSC 22000(食品安全システム認証22000)
食品衛生法(日本)