RO水/逆浸透水

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定義

RO(Reverse Osmosis=逆浸透)膜という非常に細かいフィルターを使って、水道水や天然水から不純物を徹底的に除去した水のことです。
0.0001µm級の半透膜で溶解固形分(ミネラル、塩類)、微粒子、微生物まで大幅に除去したきわめて低ミネラル・低TDSの水です。純水に近いですが、装置・運転条件により微量のミネラルが残ることもあります。


しくみ

  1. 高圧で水をRO膜に押し当て、H₂O分子中心に透過させる。
  2. Na⁺/Ca²⁺/Mg²⁺/Cl⁻/SO₄²⁻ などはほぼ遮断。
  3. 透過水=RO水、残りは濃縮排水として廃棄。

特性(紅茶の観点)

  • TDS:ほぼ 0–30 mg/L(装置次第)。
  • 硬度:きわめて低い(軟水のさらに下)。
  • 味の傾向:クリアで雑味が少ない一方、ボディが痩せやすい/フラットになりやすい。
  • 器具:スケール(湯垢)がほぼ付かない。金属溶出には食品用容器推奨。

紅茶での使い方(実務)

そのままでも良いですが、香味が立たないと感じたら再ミネラル化(リミネラライズ)を検討します。

RTD紅茶などにはこのレベルの水が求められます。


目標レンジ(目安)

  • TDS:50–120 mg/L
  • 全硬度(CaCO₃換算):30–60 mg/L(軽めの軟水〜中硬水手前)
  • アルカリ度:20–40 mg/L(タンニンの収斂を緩和、酸味の支え)

再ミネラル化の方法

  1. ブレンド法:RO水 : 硬水(市販ミネラルウォーター)= 3 : 1 から試します。
  2. ミネラルドロップ(食品用Mg/Ca液)を表示どおりに滴下します。
  3. 試薬法(上級者向け):食品グレード・精密秤が前提です。

例)1 L の RO水に

  • 炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)約 50 mg
  • 塩化カルシウム二水和物(CaCl₂·2H₂O)約 100 mg
  • 硫酸マグネシウム七水和物(MgSO₄·7H₂O)約 50 mg
    → だいたい TDS ~90 mg/L, 硬度 ~40 mg/L, アルカリ度 ~30 mg/L 目安。
    ※計量ミスは味や安全に直結。必ず食品グレード・微量秤・清潔容器で。

茶種別ヒント

ダージリン春摘み/中国紅茶:低め(TDS 50–80)で香りを前にします。

アッサム/セイロン(ミルク想定):やや高め(TDS 80–120)でボディを補強します。

レモンティー:アルカリ度を上げすぎると濁りやすい→30 mg/L前後に抑えるようにします。


よくある誤解

「RO水=完全な純水」→ ×。ほぼ純水ですが、計装・膜・ラインで微量残存があります。

「ミネラルは多いほどコクが出る」→ ×。硬度・アルカリ度の過多は渋味・濁り・香りのマスキングになります。

「長期保存してOK」→ ×。低ミネラル水は味変が分かりやすいです。遮光・低温・清潔容器で短期使い切りが原則です。


取り扱い・安全メモ

容器:ガラス/食品用プラ推奨です。銅・真鍮・古い半田配管は避けるべきです。

やかん/ケトル:スケールは付きにくいですが、金属臭を感じたら容器側を疑うようにします。

味見:再ミネラル化後は必ずそのまま飲んで「しょっぱさ/苦み」が無いか確認します。


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