シングルオリジン(Single-origin)

contents

定義・概要

シングルオリジン(Single-origin)は単一の産地または農園(エステート)で収穫・製造された茶葉のみで構成された紅茶を指します。ブレンドで味を均質化した商品と異なり、土地(テロワール)や季節の個性がそのまま現れやすいのが特徴です。ダージリンのファーストフラッシュ/セカンドフラッシュのように季節を明示した銘柄は、シングルオリジンの代表例といえます。


歴史的視点

近現代の大量流通では、国・年次・ロットが異なる茶をブレンドして一定の味を保つのが主流だでした(例:Breakfast系ブレンド)。一方、スペシャルティ志向の高まりとトレーサビリティ(産地・農園・ロットの追跡性)の重視を背景に、農園名や区画名、収穫シーズンを掲げたシングルオリジンが広く支持されるようになってきました。地理的表示(GI)や政府認証マーク(例:セイロン・ライオンロゴ)は、こうした「出自の明示」を後押ししています。


よくある誤解

シングルオリジンは必ずしも「ブレンドより優れている」という意味ではありません。年ごとの出来映えやロット差がそのまま出るため、味がぶれやすい側面もあります。ただその変化こそが魅力で、香味の立体感や季節感を楽しみたい人に向いています。買う際は農園名/区画(Estate, Garden)・収穫季・グレード・ロット番号(インボイス)などの表示が整っているかを確認するとよいです。


用語の注意

広義の定義:単一産地(国・地域)だけで構成されていれば「シングルオリジン」と称する例があります。

狭義/厳密な定義:単一農園(Single-estate)、さらには単一ロット(Single-lot/同一収穫回・同一工場仕上げ)まで絞る表記もあります。

表示のゆれ:地域内の複数農園ブレンドでも「Single-origin(=地域単一)」を名乗る例があるので、ラベルの粒度を確認する必要があります。

品質評価:ブレンドは安定性が魅力で、シングルオリジンは個性と変化が魅力です。目的に応じて選ぶのが良いでしょう。