Talking of Tea
contents
概要
本書『Talking of Tea』(1956)はジャーバス・ハックスレイ(Gervas(e) Huxley:1875–1959)の代表作であり、唯一の著書です。紅茶の歴史・作法・飲み方を、気取らず、しかし品位を保った文体で語った名著として知られています。学術書でも技術書でもありませんが、後の紅茶文化論・入門書の語り口に大きな影響を与えました。また、日本だけで有名な「ジャンピング」について科学的に書かれているおそらく最初の本です。
『Talking of Tea』の資料性
この本は植民地時代のセイロン(スリランカ)の時代背景が非常によくわかる貴重な1次資料です。
何回か増刷されていますが(カヴァーが違います)、この初版以外は現代では「差別的」とされたり「不適切な表現」とされる所が削除されたりしているので、資料価値はこの初版がダントツになります。

🧸くま的書評
以上が「オフィシャルな書評」ですが、くまはこれを読んで「異常な熱を持ったセイロンティー贔屓」というのが伝わってきて、その偏愛ぶりが大好きになったのです。
結構ダークなブリティッシュジョークやセイロンティー以外紅茶と認めないというほどのレベルの偏愛、紅茶に対する人並外れた熱量、ともかく「引き込まれる本」です。セイロンティー贔屓のくまはとても楽しく読みましたけど、セイロンティー以外の紅茶が好きな人には面白くないかもしれません。
見事なのが「続きを読みたい」と思わせずに「この人の次の本が読みたい」と思わせる筆致です。これができる著者はどのジャンルでもなかなかいません。正直くまは嫉妬心を持ちました。しかし、残念ながら彼はこの本しか生涯を通じて書いていません。
くまが「いずれ”解説付き翻訳”をしたい」と思っている本です。