喫茶店と紅茶

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📝 概要

戦後の日本社会において、紅茶が最初に日常的な存在として根づいた場の一つが「喫茶店」でした。家庭ではまだ高級品としての印象が強かった紅茶が、比較的手頃な価格で提供され、文化的・社交的空間の一部として広がっていきました。

1. モダン喫茶と紅茶の接点

1950年代後半から60年代にかけて、「モダン」と称されるスタイルの喫茶店が都市部を中心に急増します。音楽、照明、内装、制服などに特徴があり、紅茶はコーヒーと並ぶメニューの一角として定着。特にレモンティーは、紅茶の代名詞的存在となっていきました。

🍽️ 2. メニューとしての紅茶

喫茶店における紅茶は、ストレート・レモン・ミルクの三択が基本でした。ティーバッグを使ったものが主流で、ポットサービスではなくカップ提供が一般的。これは紅茶の「飲み方」が、まだ十分に定着していなかった時期の名残といえます。

🏮 3. 紅茶の“日常化”への入口

喫茶店で提供された紅茶は、家庭での紅茶消費の入口となる役割を果たしました。とくに女性層にとって、友人との語らいや、ひとりの時間を過ごす場としての喫茶店で紅茶を飲む体験は、その後の紅茶文化を形づくる大きな土壌となりました。

📈 4. 商品としての地位の変化

当時の紅茶は、コーヒーよりも高価なメニューであることが多く、「少し上等」な飲み物として位置づけられていました。しかし、輸入自由化・国産紅茶の低価格化・ティーバッグの普及などにより、1980年代以降は次第に価格差が縮小し、より一般的な選択肢となっていきます。

📚 関連項目

🌟 喫茶店という空間が、紅茶を“贅沢な日常”として受け入れる土壌を育んだ。