two-spotted spider mite

ナミハダニのことです。ハダニの一種で日本に多い種類です。

ハダニについてはハダニを参照してください。

two-spotted spider mite
two-spotted spider mite

contents

概要

ナミハダニ(学名:Tetranychus urticae Koch)は、ハダニ科に属する植食性の微小ダニで、農作物や園芸植物に広範囲な被害を与える重要害虫のひとつです。体長は約0.4〜0.5 mmで、雌成虫は通常淡黄色または黄緑色の体色に、体側に2つの黒斑(spotted)があります。これが英名の”two-spotted”の語源になっています。被害は葉の吸汁による退色・褐変・落葉で、茶を含む多くの作物で問題視されています。

生態と分布

ナミハダニは高温・乾燥を好み、ハウス栽培や夏季の露地栽培において急速に増殖する傾向があります。世界的に分布しており、日本全国でもほぼ全域で確認されています。卵、幼虫、2齢幼虫、成虫の4段階を経る不完全変態で、1世代あたり1〜2週間で成育可能です。

被害と影響

葉の裏面に寄生し、口針で葉肉細胞の内容物を吸収することで退色・斑点状の白変を引き起こします。高密度になると葉が褐変・落葉し、光合成能力が著しく低下してしまいます。茶樹を始め、イチゴ、豆類、花卉など、多様な作物に被害が及ひます。また、葉上にクモの巣状の糸を張ることがあり、美観や品質の低下も問題となります。

防除

薬剤耐性が非常に発達しやすいため、単一農薬の連用は避けるべきです。天敵導入(ミヤコカブリダニなど)や環境制御(ハウス内湿度の調整)との組み合わせが推奨されます。また、発生初期の早期発見と重点的防除が効果的とされています。

類似種との識別

カンザワハダニ(T. kanzawai)とは非常に類似しており、体色・黒斑の有無、寄主植物の違いなどにより区別されます。ナミハダニはより広範な作物に寄生する傾向があり、越冬時には赤色に変化する個体も存在します。