聞く紅茶教室
講義時間:約6分
第78講 紅茶と物語世界(8)
8.SNS・映像文化と紅茶
現代の紅茶文化で、
もっとも大きく変わったこと。
それは、
紅茶が、
「飲まれるもの」から
「共有されるもの」
へ変わったことかもしれません。
Instagram。
Pinterest。
動画配信。
そこでは紅茶は、
「おいしい飲み物」
としてよりも、
「ゆったりした時間を見せる道具」
として使われています。
美しいティーセット。
窓から入る光。
静かな午後。
そこで大事なのは、
味よりも、
「この空間で暮らしている感じ」
なのです。
つまりSNS時代の紅茶は、
香りよりも、
「見える余裕」
を演出する飲み物になっていったのです。
さらに動画文化では、
紅茶は「音」になっていきます。
お湯を注ぐ音。
茶葉の揺れる音。
カップを置く音。
それらは、
飲食の記録ではありません。
「静けさを聞くための音」
として再編集されているのです。
現代では、
コーヒーが
集中。
仕事。
スピード。
を象徴する一方で、
紅茶は、
休息。
余白。
ゆっくりした時間。
を象徴するようになってきました。
つまり現代人は、
「時間を早める飲み物」と
「時間を戻す飲み物」
を、
無意識に使い分け始めているのかもしれません。
くまのひとりごと
SNSでは、
見栄えの良さが、
求められることが多いです。
そうした世界で、
ホテルのアフタヌーンティーや、
きれいなティーセットなどが、
毎日あふれています。
くまもSNSはやっていますが、
残念ながら、
あまり見栄えの良いものは、
ありません。
その代わり、
ティーカップの中の、
紅茶の色がわかるようにしたり、
茶葉がどんなものかなどを、
記録するようにしています。
もっと素敵な写真が、
撮れればよいのですけど、
続けていけば、
いつか紅茶図鑑みたいに、
なっていくのかな、と。
くまは、
そんな風に思っています。
SNSや動画配信では、
見せることが、
とても上手な人たちが、
たくさんいます。
でも大事なのは、
上手に見せることよりも、
自分なりの紅茶の時間を、
SNSという場所に、
少しずつ刻んでいくことなのかもしれないな、
と、くまは思うのです。